こんにちは、アイオイクスの赤沢(@akazawa_ioix)です。
リライトや新規制作でタイトルを考えているとき、意味の近い言葉がいくつも浮かんできて、手が止まった経験はないでしょうか。
たとえば「甘い」「ゆるい」「通りやすい」。どれも近いことを言っているけれど、微妙にニュアンスが違う。全部入れたほうが取りこぼしがない気もするし、でも詰め込みすぎると不自然。並び順はどうしよう。気づけば、タイトル欄の前で何分も考え込んでいる。
SEOに携わっている方なら、一度は覚えのある”あるある”ではないでしょうか。みなさんは、こういうとき、どうやって判断していますか?
私は海外SEO情報の収集を担当しているのですが、最近強く感じるのが、検索エンジンの”意味”の理解が、年々精度を上げているということです。だとすれば、タイトルの考え方も、その変化に合わせてアップデートしていく必要があります。
今回は、「意味の近いキーワードをどう扱うか」を入り口に、検索エンジンの進化に対してタイトル設計をどう変えていくべきかを整理してみました。最後には、判断基準のまとめと、実際にやってみた結果についても共有いたします。
検索エンジンが”意味”を理解していることを示す海外記事

きっかけは、Mozの「Do Keywords Matter in 2026?」という記事でした。(この記事は、以前SEO Japanのメルマガでも取り上げており、noteにバックナンバーがありますのでご興味のある方はそちらもぜひご覧ください。)
関連記事:99.5%以上の上位タイトルは検索クエリを含まない?Mozが1000件のロングテールキーワードを調査
この記事では、1,000個のロングテールクエリと、その検索結果1ページ目に並ぶ8,703件のタイトルを分析しています。結果が印象的で、検索語とタイトルが「完全一致」していたのはわずか0.49%。つまり99.5%以上のページは、ユーザーが打ち込んだ言葉をそのままタイトルには使っていなかった、ということです。
たとえば「top high-end sport utility vehicles」で検索しても、1位ページのタイトルにはその言葉が一つも入っていない、という例が挙げられていました。それでも上位に来る。Googleは単純な部分一致や同義語だけでなく、言葉の”意味的な近さ”まで理解する方向に進化している。そう実感させられるデータでした。
これは海外だけの話ではありません。実際に日本語でも、同じことが起きています。

たとえば、「資格 楽に取れる」で検索しても、上位に並ぶタイトルに「楽に」という語はほとんどなく、「簡単」「取りやすい」「短期間で取れる」に置き換わっています。Googleが「楽に≒簡単・取りやすい」と意味を理解している一例です。
実務でぶつかった疑問:「甘い」「ゆるい」「通りやすい」、全部入れるべき?
ちょうどこの視点に触れた頃、あるクライアント様のリライトでタイトルを検討していました。そこで手が止まったのが、まさに意味の近い「甘い」「ゆるい」「通りやすい」という複数のワードを、全部タイトルに入れるべきか、という問題です。
検索エンジンが意味を理解しているなら、似た言葉をわざわざ全部入れる必要はないのでは?でも、入れないと片方の言葉で検索した人を取りこぼしてしまう気もする…。
「主要キーワードを前のほうに置く」「不自然な羅列は避ける」といったセオリーは、検索エンジンがまだ表記の一致を重く見ていた時代から形作られてきたものです。
意味理解の精度が上がった今も、その前提のままでいいのか。この疑問をきっかけに、検索エンジン側の変化に沿って、タイトルの考え方を一度整理し直してみることにしました。
タイトルにおけるキーワードの役割
そこで、検索エンジンの変化を軸に、タイトルのキーワードが担う役割がどう変わってきているのかを、AIと壁打ちしながら整理していきました。
前提として、「タイトルに上位を取りたいキーワードを入れる」というのは、長くSEOの基本施策とされてきました。2024年のGoogle内部APIドキュメントの流出でも、キーワードマッチングの重要性がうかがえます。
一方で、近年の検索エンジンは表記そのものより「意味・文脈」で評価する方向に進んでいる。この二つをどう両立させるか。整理してみると、タイトルのキーワードには大きく二つの役割があり、その比重が検索エンジンの進化とともに移り変わってきているという大枠が見えてきました。
①拾える検索を広げる役割(順位重視)
ひとつはランキング面です。ただ、ここは以前ほど単純ではありません。メインキーワードがタイトルになくても、本文の内容が検索意図に合致していれば、評価される可能性は十分にあります。先ほどのMozのデータが示すとおりです。
つまり、タイトルに特定のキーワードを入れることは「該当キーワードの順位を上げる」というより、「取りこぼしを防ぎ、評価を補強する」施策に近い。たとえば「甘い」で上位が取れているなら、意味の近い「ゆるい」「通りやすい」も、ある程度は拾えていると考えられます(実際、タイトルを検討していた記事も、当時ワードとして含まれていなかった「ゆるい」「通りやすい」でも1ページ目に掲載されていました)。意味理解が進むほど、この傾向は強まっていくはずです。
②検索結果で選ばれる役割(CTR重視)
もうひとつがCTR面です。こちらは今も、文字列の一致が効くと考えています。
検索結果の一覧は、ユーザーがざっと視線を走らせて選ぶ場所です。「通りやすい」で検索した人は、タイトルに「通りやすい」という言葉があるほうが、自分ごととして感じてクリックしやすい。同じ意味でも、検索した言葉そのものが見えることの安心感は無視できません。
整理して見えてきたのは、検索エンジンの意味理解が進むにつれて、タイトルにキーワードを入れる意義の重心が、ランキングよりCTR側に寄ってきているのではないか、という見立てでした。キーワードを入れる重要性が下がったのではなく、検索エンジンの変化に合わせて入れる目的・基準が変わってきている。ここまでが、壁打ちを通して立てた仮説です。実際にそのとおりなのかは、後半で自分の実務データを使って確かめてみます。
タイトル設計の判断基準
整理した内容を、新規制作でもリライトでも使えるチェックリストにまとめました。冒頭の「甘い・ゆるい・通りやすい、全部入れるか問題」への答えも、この中にあります。
前提:まず押さえておきたい3点
- 目的を切り分ける:そのキーワード追加は「まだ拾えていない検索を取りにいく」ためか、「すでに表示されている画面で選ばれやすくする」ためか。ゴールはどちらもクリックですが、経路が違えば判断基準も変わります。
- 競合の表記はあくまでも参考程度に留める:「競合が入れているから」ではなく、検索意図クラスタ・検索ボリューム・表現リスクという根拠で決めます。
- タイトルは”選ばれる素材のひとつ”:Googleはtitleやh1などから表示するタイトルを選び、短いほうが採用されやすい傾向があります。冗長な羅列はむしろ逆効果です。
類語を足すか迷ったときのチェックリスト

意味の近いワードを追加するかは、次の3つをすべて満たすかで判断します。
☐ 検索意図クラスタが同じか(2つのワードで検索し、1ページ目の顔ぶれがほぼ同じか)
☐ それぞれに一定の検索ボリュームがあるか
☐ タイトルの文字数目安に収まるか(次項参照)
3つとも満たせば追加。ひとつでも欠ければ、メインキーワード+意図の近い1語に絞り、残りは本文や見出しでカバーします。これが、冒頭の「全部入れるべきか」への私なりの答えです。
仕上げの確認ポイント
- 文字数:よく言われている「32文字」は古い目安。実際はPCで約30字前後、モバイルで約40字前後。溢れると後ろから省略される前提で組みます。
- 配置:メインキーワード(例:「甘い」)を前方へ。句読点やスペースなどの区切り文字も、表示のコントロールに使えます。
- 表現リスク:「甘い」「通りやすい」のように断定的に読める語は、誤解・誤認を招くことがあります。言い切りを避けるなど、表現の調整もセットで。
- 効果検証:変更前に対象ワード単体の順位を確認しておき、変更後にSearch Consoleで順位とCTRの両方の変化を見て、どちらに効いたのかを振り返ります。
【速報】タイトルに類語を追加した影響
……と、ここまで整理した仮説を、せっかくなので自分の実務で答え合わせしてみることにしました。
対象記事のタイトルに、もともと入っていた「甘い」に加えて、意味の近い「ゆるい」「通りやすい」を追加。Search Consoleで、(1)タイトル変更の前後、(2)昨年の同じ時期、という2つの軸で見てみました。クエリは「甘い」「ゆるい」「通りやすい」の3グループに分けて集計しています。
タイトル変更の前後比較
まず、変更の直近効果です。記事全体では、平均掲載順位が10.9→7.9、クリック数が約2.6倍に伸びました。グループ別に見ると、こうなります。

読み取れたことは3つです。
ひとつは、追加した「ゆるい」「通りやすい」で、順位・クリック・表示クエリ数がそろって伸びたこと。掲載順位は9位台から7位台へ改善し、クリックは約3倍、拾えたクエリの種類も「ゆるい」5→19、「通りやすい」7→16と大きく広がりました。狙って足した言葉のまわりで、これまで拾えていなかった検索を新しく取れるようになった形です。
ふたつめは、メインの「甘い」が食われなかったこと。類語を足すとメインが薄まる心配もありましたが、実際は「甘い」も順位・クリックとも伸びており、少なくとも今回はマイナスの副作用は見られませんでした。
みっつめは、CTRも各グループで上向いたこと。ただし順位そのものが上がっているぶん、CTRの上昇には順位改善が効いている部分も大きく、「検索した言葉が見える」効果だけを切り出すのは難しいところです。
昨年同期間の比較
ここで視点を変えて、昨年の同じ時期とも比べてみます。この記事は昨年7月下旬に一度更新しており、その直後にあたる昨年8月は、今より順位が高かった可能性が高いと考えたためです。

ここで見えるのは、少し込み入った事情です。「甘い」「ゆるい」は、昨年(前回更新の直後)のほうが今よりも上位でした(甘い5.7、ゆるい6.7)。つまり、この1年で順位がじわじわ落ち、変更前には9位台まで下がっていた。今回のタイトル変更は、そこから昨年の水準近くまで戻したという回復の側面が大きい、と読めます。一方で「通りやすい」だけは、昨年比でも順位・クリック・クエリ数のすべてが純増でした。ここは、追加によって昨年を超えて新しく取れた範囲、と言えそうです。
まとめ
仮説の段階では、類語の追加は、拾える検索を広げる(順位重視)ためというより、検索結果で選ばれやすくする(CTR重視)ための施策として効くと見込んでいました。
ですが今回の実データでは、追加した語の順位もはっきり改善しており、CTRだけでなく順位の面でも効いた、というのが答え合わせの結果です。
ただし、この9位台→6〜7位台は、ゼロからの上昇というより、落ちていた順位の回復に近い動きでもありました。とはいえ、変更前→変更後の伸び自体ははっきりプラスで、追加した語で受け皿が広がり、メインも損なわないこと、そして通りやすいは昨年を超えて純増したことは確認できました。
もちろん、「甘い」を含めて記事全体が同時に動いていることもあり、この変化をすべてタイトル変更の効果と断定はできません。観測期間も約10日間と短いため、あくまで初期の傾向として受け取っていただければと思います。
おわりに
タイトルにおけるキーワードの重要性そのものは、これからも変わらないと思います。
ただ、特定の言葉を”足すかどうか”を検討する場面では、それが「拾える検索を広げるため(順位重視)」なのか「検索結果で選ばれ、流入につなげるため(CTR重視)」なのかを切り分けて考えることが、以前より大事になってきていると感じます。
とはいえ、今回の実データのように、ふたを開けてみれば順位とCTRの両面で効くこともある。だからこそ、思い込みで決めずに、目的を意識したうえで実際のデータで確かめる、という進め方が必要です。
これからは、競合の表記は参考程度にし、検索意図クラスタ・検索ボリューム・文字数・表現リスクといった根拠をベースに判断していきたいと思います。クライアント様への提案や説明の場でも、この考え方を前提に話せるようになったのは、自分にとって大きな収穫でした。
検索エンジンの意味理解は、これからも精度を上げていくはずです。だとすれば、タイトルの考え方も、その進化に合わせて更新し続けていく必要がある。今回整理したのはあくまで”現時点での対応”ですが、変化を前提に考え方をアップデートしていく。その姿勢こそが、SEOに向き合う上で、今後最も重要になってくるのかもしれません。
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