最近の生成AIの進化、AI OverviewsやAI Modeの話、目まぐるしいです。目が回りそうです。でも、新しい時代でも価値を出したいと最近強く思う遠藤(@KouzaburouE)です。
AI Modeの発達により、そもそも「検索とは何か」を考えることがSEOerに問われているように感じます。AI Modeについて、昨日iPullRank社のMike King氏が詳細に解説した以下の記事を読んで、考えをまとめたく記事にしました。
出典(英語):AIモードの仕組みとSEOが検索の未来に備える方法
これからは、LLM(大規模言語モデル)が「意味の近さ」をもとに情報を統合し、意図を満たす文書断片(パッセージ)を紹介する時代に入っていくとか。AI Modeでは、検索クエリが意味的に展開(Query Fan-Out)され、複数の関連質問が生成され、それに意味的に近いパッセージが選ばれ、最終的な回答が生成される、といった内容です。
なにそれという語句が多いですよね?大丈夫です。
SEOerの誰も置いてけぼりにせず、みんなで次の時代にいきましょう。
AI Mode時代に向けてSEO担当者が押さえておきたい重要キーワード
AI Modeにおける検索の仕組みや最適化の方針を理解する上で、以下の用語は必須となっていきそうです。今後海外の記事でもよく目にすることになっていくので、これを機にインプットしておきましょう。
用語 | 意味 | なぜ重要か |
---|---|---|
Query Fan-Out | 1つの検索クエリから関連する多数の暗黙的な質問が生成されるプロセス | クエリの背後にある多様な意図を理解・カバーするために必要 |
Passage | ページ内の意味的にまとまったテキスト(段落・FAQなど) | AIはページ全体でなくこの単位で引用・要約する |
Embedding | テキストの意味を多次元ベクトルで表現したもの | クエリとコンテンツの“意味的な近さ”を計算するベースになる |
Corpus | 検索や生成時に参照される情報群 | 自社サイトが“その領域のコーパス”になるための設計が必要 |
Passage Re-ranking | ベクトル的に近い候補群をLLMが比較・再評価するプロセス | 表面のキーワードでなく、意味・構造で勝負が決まる |
Retrieval-Augmented Generation(RAG) | 検索と生成を統合した仕組み。事実情報を検索し、回答文に統合する | 正確で信頼性ある回答を生成する基盤。引用対象になれるかが重要 |
専門知識はさておき、結局何が必要なのか?ですが、オンページSEO(サイト内でのSEO)の施策でこれから重要になるは、「意味と構造が明確であるか」です。
なぜ、構造を見直す必要があるのか?
AI Modeでは、キーワード/ページ単位ではなく、複数の隠れたクエリの意味的関連性が重要となります。 それは検索の単位が意味そのものになるためです。
ニーズの集合体で返すAI Modeは複数のクエリの間にあるコンテクストも含めて返す、つまり「検索ジャニーを代行して、一発で最初から必要な情報をキュレーションして出しますよ」ということになります。
例えば「家 建てる 準備」で検索する人の意図は、
- 土地の選び方が知りたい
- 住宅ローンの組み方を探している
- 間取りの事例が欲しい
など複数あります。これまでの検索履歴などからその人が欲しいであろう答えを推論して、一発で返せたら最高の検索体験だと思わない?ってことなのかなと。
- 一問一答形式
- FAQ構造
- 解説は簡潔で文脈に依存しない
- 短文で完結する段落が多い
- 要点は見出しで把握できる
これらの形式は、iPullRankの分析によれば、AIにとって「引用・要約に適した単位」として抽出されやすく、AI Mode内部で行われるPassage re-ranking(ベクトル的に近い候補群をLLMが比較・再評価するプロセス)においても優位に働くとのこと。
AI Modeは、単一のクエリに対してベクトル検索で関連パッセージを抽出し、それを比較・合成して最終的な応答を生成する。そのため、構造化・簡潔化・意味的独立性のあるパッセージでなければ、そもそも候補として扱われないことになります。
ということは、「ユーザーにとってわかりやすい」情報設計こそが、「AIに引用・要約されやすい」情報への近道!と解釈しました。
正しいトピッククラスターモデルが重要かもしれない
AI Modeでは、単語単位の一致ではなく「意味のまとまり」=意図・文脈が評価されますので、情報構造の「意味的なまとまり」をユーザーにもAIにも示すトピッククラスターは、有効な設計モデルと考えられます。
これは、単なるAI最適化のための施策ではなく、もともと私たちが追求してきた「ユーザーが知りたいことに正しく・簡便にたどり着くための設計」と同じ方向です。
たとえば、
- 専門家による監修や出典明記(確からしさ)
- トピックごとに適切にページを分けてリンクでつなぐ(簡便性)
- キーワードよりも意図ベースでページを作る(目的に沿った構成)
これらは、本質的にSEOがずっと取り組んできた「良い設計」の延長線上にあるものです。
意味的に関連するトピック群を階層設計し、内部リンクで結ぶことにより、次のような効果が期待できます。
- 網羅性と深さを備えた情報源としての信頼性向上
- Passage Re-ranking においてより高い再評価を受けやすい
- サイト全体がそのテーマに強い「コーパス」として評価されやすくなる
GoogleもSearch Console上でAI Mode由来のパフォーマンスを表示する機能を今後導入予定であり(参照記事[英語]:Google Search ConsoleでAIモードのパフォーマンスを表示できるが、それを切り離すことはできない)、意味的な構造設計が成果として見える時代に入ろうとしています。
※「正しいトピッククラスターってなんじゃい!」と思った方は、「トピッククラスターをやろう!と思ったら設計・調整に時間を割くべき理由」の記事をどうぞ。手前味噌で恐れ入ります。
「見えない効果」を「意味づける」こと
私たちが今向き合っているのは、「誰かに使われたかもしれない」「しかし自分にはそれが見えない」という種類の成果です。
AI Modeでは、検索結果のクリックという行動が不要になり、「見えない接触・見えない貢献」が増えています。しかしその裏で、指名検索やCV率、直前ページなどに変化が起きていることも事実です。
だからこそ、「直接は見えない」成果を、誰がどこで生み出したのかを「手で拾う」仕組みとインサイトが必要です。
- 指名検索の増加
- 直前ページの変化
- 問い合わせ文面に含まれる動機キーワード
- LLMによる引用を確認する定点観測(ChatGPT / Gemini / Perplexity など)
そして、「直接は証明できないが、我々のような構造の改善が寄与していると考えられる」と説明する言語力が、ますます重要になっています。
【重要】本質的にやることは変わらない
AI時代のSEOに対応する、というと難解に聞こえるかもしれませんが、本質は変わってないと思います。
- ユーザーが知りたいことに、正確に、簡潔に答えること
- その答えに確からしさ(監修や出典)を持たせること
- 関連情報にたどり着きやすくするためのリンク設計を行うこと
これは、真剣にSEOを行う中で目指してきた「検索体験の質向上」そのものです。AIに引用されやすい情報設計とは、ユーザーにとっても使いやすい構造と一致します。
これからのSEOは、「意味を設計するしごと」
これからのSEOは、
- 誰が
- 何の意図に対して
- どんな意味をもって
- どの構造で対応しているか
を、一段落単位で設計する仕事に進化していくのかな、と。
AI Modeにおける検索は、「意味空間の中で選ばれる」構造です。 単なるコンテンツ制作ではなく、「意味の設計」「構造の明確化」「語る資格の明示」「引用されやすい粒度と形式」のすべてが求められる時代になっています。
これまで、仮説ベースでも「やっておいてよかった」と思えた施策──構造化データやE-E-A-T強化のような取り組みが、より明確に評価されるようになってきています。
今後は、それらを意図的に設計し、成果の見えにくさを補う証明・インサイト・運用設計を仕掛けていくことが、SEO担当者に求められるスキルだと考えています。
また、これに伴って弊社ではコンテンツ制作代行サービス刷新を行いました。続けて、コンサルテーションサービスの刷新も行っています。構造化・独自性・専門性、そして権威性が求められる中で、価値ある支援ができるよう改善中です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
アイオイクスではSEOを軸としたWebコンサルティングサービスを提供しています。
いわゆるSEOの型に沿った施策ではなく、お客様の事業やWebサイトの構成を踏まえた最適な施策のご提案を重要視しています。SEOにお困りの際はぜひご相談ください。
→SEOコンサルティング サービスページ
アイオイクスでは一緒に働く仲間を募集しています
アイオイクスのWebコンサルティング事業部では、「一緒に挑戦し、成功の物語を共有する」という理想像を掲げ、本質的な取り組みを推進しています。私たちと汎用性の高いスキルを突き詰め、自由に仕事をしていきませんか。
メールマガジンの登録はこちら
SEOに関連する記事の更新やセミナー情報をお届けします。