こんにちは、アイオイクス株式会社の渥美(@ioix_atsumi)です。私はこれまで1,000件以上のSEO相談を受け、大規模サイトから小規模サイトまで様々なサイトを見てきました。最近のSEOトレンドは、コンテンツ重視です。しかし、優れたコンテンツを評価されるためにはテクニカルSEOが重要な役割を果たします。
とはいえ、テクニカルSEOは時間がかかり、難しく、専門的な知識がないと実行するのが難しいという課題があります。そのハードルを少しでも下げるために、役立つツールをいくつかご紹介します。
それでもなお、テクニカルSEOが難しいと感じる場合は、ぜひ私たちにご相談ください。専門的なサポートで、あなたのサイトの評価を最大化するお手伝いをいたします。
テクニカルSEOとは?
そもそもテクニカルSEOとは、ウェブサイトが検索エンジンによって適切にクロールされ、インデックスされるために技術的な側面を最適化する一連の作業を指します。これは、ウェブサイトの構造、サーバー設定、コードの品質、ページの読み込み速度など、検索エンジンがサイトを評価するために重要な技術的要素を改善することを目的としています。
テクニカルSEOは、Googlebotがサイトを効率よくクロールし、重要なページがインデックスされるようにする基本的な設定を提供します。また、内部リンクを適切に設置することでクロール効率を向上させるだけでなく、ユーザーのサイト滞在率や回遊率を向上させることも可能です。これにより、ユーザーの行動が改善され、検索順位の向上を狙います。
おすすめテクニカルSEOツール3選
①クローラー・分析ツール Screaming Frog SEO Spider
Screaming Frog SEO Spiderは、ウェブサイトをクロールし、SEOに関する情報を整理して提供する分析ツールです。
個人的には神ツールだと思ってます。これとGoogle Search Consoleがあればある程度の事は把握できます。そして最強コスパ。ツール費用が年々高くなっている中で非常に良心的な価格も魅力的です。
1. 機能と特徴
Screaming Frogは、サイトのすべてのページをクロールして、内部リンク、外部リンク、HTML、JavaScript、CSSなどの要素を解析します。クロール中にrobots.txtファイルの指示を遵守し、検索エンジンボットと同様の挙動をシミュレーションする事も出来ます。それにより各ページのステータスコードやリダイレクト先などが把握できます。
Screaming Frogを使って分かる事できる事
- TITLEやDESCRIPTION,H1などの重複
- TITLEやDESCRIPTION,H1などの文字数
- X-Robots-Tag(noindexなど)
- パラメーターによる重複
- 最終更新日(lastModified)
- リダイレクトタイプ(メタリフレッシュリダイレクトなど)
- リダイレクト先
- CANONICAL先
- 内部リンク数(発リンク、被リンクの総数、ユニークリンク数)
- レスポンスタイム
- XMLsitemapを作成
更にGoogle Search Console、Google Analytics、pagespeedinsightsなどのツールAPIを連携する事が出来ます。
そうすると自然検索流入数が多いページの一覧を作る事が出来るし、コンバージョンに寄与しているページを発見する事も出来ます。またGoogle Search Consoleエラーを把握する事が出来る為、ページの改善にScreaming Frogを使わない手はありません。
2. 使用方法
2.1 基本的な設定
URLを入力して「Start」ボタンを押すだけで、Screaming Frogがクロールを開始します。
更に細かいセットを行う場合はconfigurationから設定を行います。ここで必ず設定しておきたいのはレンダリングの設定。昨今のサイトはJavaScriptを有効にしておかないと正しくクロールしてもらえません。
他にもディレクトリ単位でクロールさせたり、robots.txtどおりまたはrobots.txtを無視してクロールさせる事も可能です。クロールするサイト規模等で変更してみてください。
3. メリットとデメリット
3.1 メリット
詳細な分析を提供しながら圧倒的なコストパフォーマンスが魅力です。 無料版でも500ページまでクロール可能で、小規模サイトの監査には十分です。有料版でも年間239ユーロ、日本円で4万円程で1年間使用可能という事で、ここまで出来てこのコスパに勝てるツールはありません。
3.2 デメリット
インストール型のツールである為、クロール時にシステムリソースを多く消費し、PCが固まる可能性があります。特に大規模サイトをクロールする場合は高スペックのPCが必要になることがあります。
4. 具体的な活用方法
4.1 サイト全体の健康診断
ページのSEOメタデータやリンクの状況を確認し、問題がないかをチェックします。改善した後でもサイトの健康状態を定期的にチェックし、問題点を発見する事にも役立ちます。動的に生成されるページや頻繁に更新されるページのサイトマップを管理し、常に最新の状態に保ちます。
また、競合他社のサイトをクロールして、彼らのSEO戦略や弱点を分析する事にも活用できます。競合サイトのパフォーマンスと自社サイトのパフォーマンスを比較し、改善点を特定します。
②ログファイル解析ツール Screaming Frog Log File Analyser
Screaming Frog Log File Analyserは、ログファイルを解析してサイトのパフォーマンスや検索エンジンボットの挙動を詳細に把握するための強力なツールです。
先ほどと同じScreaming Frogのログ解析ツールです。クロールバジェットを気にする必要がないサイトであれば必要ありませんが、大規模サイトを運用している方にとっては必要不可欠なツールと言って良いでしょう。そしてScreaming Frog SEO Spider同様、コスパがとても良く、非常に使いやすいです。
1. 機能と特徴
数百万行に及ぶ大規模なログファイルを処理し、Googlebot、Bingbot、Yandex、Baiduなど、主要な検索エンジンボットのアクセスを識別し、クロール頻度やパターンの詳細な解析を行うことができます。これにより、どのページに多くクローラーが回っているのか?無駄なページに多くクローラーが回っていないか、重要なページにクローラーが頻度高く回っているか、などを見ることが出来るので、クロールバジェットの改善をする事が可能になります。また、ボットがアクセスした際のエラー(404エラー、500エラーなど)を検出し、クロールの問題点を明らかにします。
2. 使用方法
2.1 ログファイルのインポートと解析
ログファイルをツールにドラッグアンドドロップするか、指定フォルダからインポートします。またボットの種類やユーザーエージェントの設定、フィルタリングオプションなど、解析の詳細設定を行います。
解析が終わると データを視覚的に表現するグラフやチャートを生成します。
3. メリットとデメリット
3.1 メリット
詳細な分析を提供しながら圧倒的なコストパフォーマンスが魅力です。 無料版でも500ページまでクロール可能で、小規模サイトの監査には十分です。有料版でも年間129ユーロ、日本円で2万円程で1年間使用可能という事で、ここまで出来てこのコスパに勝てるツールはありません。
3.2 デメリット
インストール型のツールである為、クロール時にシステムリソースを多く消費し、PCが固まる可能性があります。特に大規模サイトをクロールする場合は高スペックのPCが必要になることがあります。また別途ログファイルが必要となりますので競合サイトなどを調査する事は出来ません。
4. 具体的な活用方法
4.1 クロール効率の改善
- ボットのアクセスパターンの最適化: 検索エンジンボットがどのページをどの頻度でクロールしているかを分析し、重要なページが適切にクロールされているかを確認します。
- クロールバジェットの最適化: クロールバジェットを効率的に使うために、不要なページやリソースのクロールを防ぐ設定を見直します。
4.2 エラーページの特定と修正
- 404エラーページの特定: 404エラーが頻発するページやリンクを特定し、リダイレクトや修正を行います。
- サーバーエラーの解析: 500エラーやその他のサーバーエラーを検出し、原因を特定して修正します。
③サイト構造・インデックス解析ツール Google Search Console
最後はお馴染みのGoogle Search Console。Googleの無料ツールですが、このツールをどこまで使いこなせるか、で勝負は決まってきます。検索パフォーマンス、流入キーワードを見るのはもちろんですが、エラー項目やリンク数などGoogleがどういう認識をしているのかを把握できますので、テクニカルSEOの観点からも非常に重要なツールです。
1. 機能と特徴
1.1 パフォーマンスレポート
検索アナリティクス: サイトがGoogle検索でどのように表示されているか、クリック数、表示回数、クリック率(CTR)、平均掲載順位を提供します。
キーワード分析: どのキーワードでサイトが検索されているかを把握し、最も効果的なキーワードや改善が必要なキーワードを特定します。
1.2 カバレッジレポート
インデックスステータス: サイト内のページがGoogleのインデックスにどれだけ含まれているかを確認します。
エラーレポート: インデックス化の問題やエラー(404エラー、サーバーエラーなど)を特定し、修正するための詳細情報を提供します。
1.3 URL検査ツール
ページのインデックス状況: 特定のURLがGoogleにインデックスされているかどうかを確認し、インデックスの問題を詳細に分析します。
ライブテスト: ページのライブバージョンをクロールし、リアルタイムでインデックス可能かどうかを確認します。
1.4 ページエクスペリエンス
モバイルフレンドリー: サイトがモバイルデバイスでの表示に最適化されているかを確認し、モバイルユーザビリティの問題を特定します。
エラーの修正: モバイル表示のエラーや改善点を提供し、ユーザーエクスペリエンスの向上を支援します。
1.5 リンクレポート
内部リンクと外部リンク: サイト内の内部リンク構造と外部リンクの状況を分析し、リンク戦略の改善に役立てます。
最もリンクされているページ: 最も多くのリンクを受けているページを特定し、リンクの影響を評価します。
1.6 セキュリティと手動対策
- セキュリティ問題の検出: サイトがマルウェアやフィッシングに感染しているかどうかを確認します。
- 手動対策レポート: Googleのガイドライン違反による手動ペナルティが適用されているかを確認し、必要な修正を行います。
1.7クロールの統計情報
- クロールリクエストの推移レポート:1日のクロールリクエストがどれくらいあるのか90日間のグラフで把握できます。
- クロールリクエストの詳細レポート: レスポンス別、目的別、ファイル形式別、Googlebot タイプ別で割合を把握できます。
2. 使用方法
2.1 サイトの登録
- プロパティの追加: Google Search Consoleにサイトを登録し、所有権を確認します(HTMLファイルのアップロード、DNSレコードの追加、Googleアナリティクスの使用など)。
- サイトマップの送信: XMLサイトマップをGoogle Search Consoleに送信し、Googleにサイト内のページを知らせます。
2.2 レポートの確認と分析
- ダッシュボードの利用: 各種レポートをダッシュボードから確認し、サイトのパフォーマンスや問題点を一目で把握します。
- 定期的なチェック: 定期的にGSCをチェックし、新たな問題やトレンドを早期に発見します。
2.3 問題の修正と再インデックス要求
- エラーレポートの確認: カバレッジレポートやモバイルユーザビリティレポートのエラーを確認し、修正します。
- 再インデックス要求: 修正後、URL検査ツールを使用して再インデックスをリクエストし、変更が迅速に反映されるようにします。
3. メリットとデメリット
3.1 メリット
なんといってもGoogle公式のツールである事でGoogleの認識を正確に把握出来る事、そして、Googleからの通知を受け取ることができる、または、送信する事が出来るコミュニケーションをとる事が出来る事が最大のメリットです。もちろん完全に無料で利用できる点も大きなメリットです。
3.2 デメリット
データがリアルタイムではなく、数日遅れて更新されるため、実際の挙動とGoogle Search Consoleのデータが異なる事があったり、検索パフォーマンスも前日、当日のパフォーマンスを見る事が出来ません。またデータはGoogle Search Consoleの画面上では500件、CSVに落としても1000件しかみれないので完全に全容を把握する事は出来ません。そして検索パフォーマンスは過去16ヶ月分までしか確認出来ません。
4. 具体的な活用方法
4.1 サイトの健康診断
- 定期的なチェック: 月次や週次でGoogle Search Consoleを確認し、エラーやインデックスの問題を早期に発見します。
- SEOパフォーマンスの監視: パフォーマンスレポートを使用して、検索トラフィックやキーワードのパフォーマンスを定期的に監視します。
4.2 エラーレポートの管理
- 404エラーページの修正: カバレッジレポートで404エラーを確認し、適切なリダイレクトやコンテンツの修正を行います。
- セキュリティ警告の対処: セキュリティ問題レポートで検出された問題に対処し、サイトの安全性を確保します。
4.3 キーワードとコンテンツの最適化
- 検索アナリティクスの活用: パフォーマンスレポートで高CTRキーワードや高インプレッションキーワードを特定し、これらのキーワードに焦点を当てたコンテンツ戦略を立てます。
- 低パフォーマンスページの改善: 平均掲載順位が低いがインプレッションが多いページを特定し、コンテンツやメタデータの最適化を行います。
4.4 リンク戦略の強化
- 内部リンクの最適化: 内部リンクレポートを使用して、リンクジュースが重要なページに適切に流れているかを確認し、内部リンク構造を最適化します。
- 外部リンクの監視: 外部リンクレポートで被リンクの質と量を監視し、リンクビルディング戦略を強化します。
テクニカルSEOツールの活用事例
1.Screaming Frog Log File Analyserを使ったクロールバジェットの効率化
ページ数が1000万ページを超えるような大規模サイトになると部分最適よりもクロール効率を上げるような全体最適を図った方が良い結果が現れる事が多いです。
ある大規模サイトのSEOがなにをやっても成果が現れず、困っていると相談をいただきました。そのサイトはログインを伴うデータベース系サイトで、URLの制御などもなにもやっていない状況でした。
その時点でクロール効率が悪いのでは無いかとあたりをつけ、ログファイルをいただき、Screaming Frog Log File Analyserを回してみたところ、Google botの8割がログインページに集中しており、他の重要ページへのクロールが少ない事がわかりました。また、詳しく調べると過去に使っていたページにもbotが回っており、無駄なページの発見に役立ちました。
このサイトはその後、URLの制御を行い、クロールの効率化に成功し、サイト全体の流入数の底上げに貢献しました。
2.Screaming Frog SEO SpiderとGoogle Search Consoleを組み合わせたエラー解消法
Screaming Frog SEO Spiderは非常に有能なツールですが、Google Search Consoleを組み合わせることによってより強力なツールへと変化します。
CANONICALを設定しているのに正規ページがインデックスされない問題の解決方法
- 問題の発見
ある日、CANONICALを設定しているにも関わらず、正規ページがインデックスされていないことが複数のURLで発覚しました。Screaming Frog SEO Spiderで確認したところ、正規ページにはCANONICALがしっかりと設定されていたため、最初は問題ないと思っていました。
- 原因の特定
Google Search ConsoleのAPIを使って、Screaming Frog SEO Spiderのデータとページ状態を組み合わせて調べてみました。すると、正規ページとして設定していたページの多くに「ユーザーがマークしたページとは異なるページが正規ページとして選択されました」というエラーが表示されていました。つまり、正規ページがインデックスされていない状態だったのです。
Screaming Frog SEO Spiderのデータを詳しく調べていくと、正規ページではないページに大量の内部リンクが張られており、正規ページにはほとんど内部リンクが張られていないことがわかりました。
- 解決方法
Googleは、CANONICALを無視して内部リンクがより多く張られているページを正規ページとみなしたと推測されます。すぐに内部リンクの向き先を正規ページに変更したところ、無事に正規ページがインデックスされるようになりました。
- まとめ
このような問題では、一つのツールだけでは原因を特定することが難しい場合があります。しかし、Screaming Frog SEO SpiderとGoogle Search Consoleを組み合わせることで、迅速に問題を発見し、解決することができました。
まとめ
Googleの評価指標において、コンテンツが最も重要な要素であることは確かです。しかし、コンテンツの魅力を100%伝えるか、評価されるかは、そのテクニカルな要素に依存していると考えています。
とはいえ、テクニカルSEOは時間がかかり、難しく、専門的な知識がないと実行するのが難しいという課題があり、専門的なツールも高額だったりして、とっつきにくいのもまた事実です。今回ご紹介した3つのツールは導入しやすい価格かつ、高性能です。これらのツールを使ってテクニカルSEOのハードルが少しでも下がり、取り組んでもらうきっかけになれば幸いです。
それでもなお、テクニカルSEOが難しいと感じる場合は、ぜひアイオイクスまたは私(@ioix_atsumi)にご連絡ください。
アイオイクスではSEOを軸としたWebコンサルティングサービスを提供しています。
いわゆるSEOの型に沿った施策ではなく、お客様の事業やWebサイトの構成を踏まえた最適な施策のご提案を重要視しています。SEOにお困りの際はぜひご相談ください。
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