皆さんこんにちは、アイオイクス豊藏です。
近年、ChatGPTやClaudeなどの生成AIが急速に進歩し、その性能の高さに驚かされる一方で、どのような業務に活用すべきか頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
今回は、現役のSEOコンサルタントの視点から、生成AIを使うべき業務と使うべきではない業務について考察していきます。
結論から言うと、AIを扱う上では「審美眼と責任感」が非常に重要と考えています。今回の記事では実際に私がAIを活用している業務や、私が考える生成AIを使うべき・使うべきではない業務についてお話していこうと思います。
ChatGPTやClaudeなど進歩すごすぎてついていけないのが本音では?
この記事を執筆しているのは、2024年5月22日です。直近にAI関連であったニュースを振り返ってみようと思います。
- Chat GPTのトークン量と精度が上昇した新型モデルGPT-4oの出現
- Google からGemini 1.5 Flashのリリース
- MicrosoftからCopilot Studioの登場
それ以外にもDifyやcreate.xyzなど、とにかく新しい情報が次から次へと飛び出している状況です。
この記事を書いている私も、仕事中はもちろん、ドラゴンクエスト3のレベ上げを妻にさせながら、自分はスマホでGPTを触るのが日常なレベルでAIを触っています。
ほんの数ヶ月前は、このような事は出来ませんでした。しかし、ChatGPTが世に普及してからたった2年程度で、写真送ったらドラクエ3の画像だと一瞬で認識できるようになりました。
そんな早い時代なので、私も正直AIに関する情報が十分にキャッチアップできているとは言えない状況です。
専門家でも触り切れていない、進化を追いきれていない人のほうが多いのかなと思っています。
そんな私の目線から見る、SEOの今後と生成AIの活用法についてお話ししていこうと思います。
検索結果の品質低下と生成AIの関係性
まず環境の話をします。
近年、検索結果の品質が低下していると感じる機会が増えています。
この理由は、生成AIの影響を強く受けていると考えています。Googleは検索エンジンのアルゴリズムにもAIを使っており、MUMをはじめとした高度なランキングシステムを導入しています。
一方、検索エンジンのコンテンツ提供者であるユーザーもAIを使うようになり、検索エンジンのアルゴリズムの複雑さもいっそう増し、もはや全容を把握できている人はいないのではないかと考えています。
実際に、生成AIを使えば自分の知識が十分でないテーマでも、記事を作ることが出来ます。ここ数日の生成AIの能力強化を見ていると、ますます見極めが難しくなっている印象です。
生成AIを使うと、専門外の分野でも、それっぽい言葉を紡げてしまうため、これらを適切にコントロールする能力が今後ますます重要になってくると考えています。
生成AIを使うべき業務
上記のような考えを持った際、生成AIを活用すべきシーンはどこなのか?お話していきます。
知見が自分にあり、正解となるアウトプットを既に持っている業務
自分自身の知識で情報を取捨選択できる分野、責任を持って答えを導き出せるテーマにおいて、生成AIの活用用途は非常に多いです。
例えば、私が24年の3月に実施したセミナーでは、「過去のセミナーの情報」を用いて、そのセミナーのディスカッションテーマをAIに作ってもらい、その場でディスカッションするという取り組みを行いました。
セミナーの企画案出しや過去のページ制作に非常に助かりました。(資料作成の時間は従来の1/4くらいになりましたね。)
こうしてみると、SEOコンテンツの制作業務も向いているように見えるかもしれませんが、現段階では正直「人やドメインによる」という印象です。これについては後で解説します。
社内的な簡易調査や分析業務
生成AIは、自分の非専門分野の知識を非常に試しやすくなったと考えています。
例えば、統計学を実践で活用するには、回帰分析などの用語用法を理解した上で、PythonやExcelを活用するスキルを持って初めて使えるものでしたが、ChatGPTのプロンプトに練り込めば気軽にアウトプットを作れるようになりました。
調査する、手を動かすハードルが非常に下がりますし、専門外の分野でも色々なアプローチを試す実験がしやすい状況が出来たなと考えています。
生成AIを使うべきではない業務
一方で、生成AIを使うべきではない業務について、私は以下のように考えています。
責任を負えないテーマ・領域の作業
医療や法律など、専門性が高く、誤った情報が重大な結果を招く可能性のある分野での執筆作業など、「自分の責任範疇で完結出来ないアウトプットを作る業務」に生成AIを使うべきではありません。
これらの分野では、専門家による監修が不可欠です。
冒頭に、検索結果の品質が低下していると感じる検索結果が増えているという話をしましたが、無責任に生成AIコンテンツを作ってしまい、その結果本来、信頼されるべきコンテンツではないものが上位表示しているケースが散見しています。
生成AIは吐き出した知識に責任を持つ能力がないため、むやみやたらに生成AIで作ったものを、外に発信すべきではありません。
生成AIはこうしたテキストを含めたコンテンツの制作能力を格段に引き上げましたが、その分校閲・ファクトチェックといった後工程にかかる時間は増えた印象です。
効率化には間違いなく繋がっていますが、削減できる時間は莫大ではないというのが正直なところではないでしょうか。
ファシリテーションとコミュニケーション
会議の進行や、クライアントとのコミュニケーションなど、人と人とのやり取りが重要な業務では生成AIの活用は適していません。
例えば、10人規模の会議で、参加者それぞれの考えを汲み取り、全員に向けて適切なメッセージを発信するといったことは、現状のAIでは難しいでしょう。
特に、PCを用いた業務の場合そのリテラシーによってもコミュニケーションの仕方は多く変わると考えています。
メールの返信作成など代替出来る部分もありますが、文脈を読み取ったりするのは人間の方が全然長けている印象です。
このように、人間ならではの共感力や状況判断力が求められる場面ではAIでは対応しきれないのが現状です。
ただし、感情表現に長けたGPT-4oのような技術が登場しつつあるため、将来的にはAIがこの領域で活躍できる可能性もあるのかなと思います。
戦略策定など、手順や優先度が都度変わるもの
手順が定型化されておらず、都度変更が必要な業務には、生成AIの活用は向いていないと感じています。
例えば、SEOコンサルティングの場合は大きな考え方、思想は決まっていますが、ベースとなるWebサイトの課題の大きさに応じて責任を持って優先度を決めるという作業が必要です。
技術的な改善を優先すべきフェーズもあれば、特定のディレクトリを強化する方が良いケースもあり、その手順はWebサイトの数だけ変わる印象です。
こうした業務については、生成AIを使ってワークフローを作成しても、運用する際に手順が変更になることが頻繁にあります。そのたびにAIに頼っていては、かえって非効率になってしまう印象です。
手順が変わる前提で人間がAIを活用するのは有効と考えていますが、技術の進化も早いため、安易にワークフロー化し、生成AIにすべてを任せるというのはあまり適切ではないのかなと考えています。
私がよく使っていること
上記のような考え方を持った上で、私が業務的に活用している領域は以下のとおりです。
情報の文字起こしとサマライズ
会議や取材の録音データを文字起こしする際、生成AIを活用しています。
実はこの記事もGoogleドキュメントの音声入力機能を使って録音データを文字起こしし、その内容を生成AIに渡して、ベースとなる文章に整形してもらっています。
ただ、ブログは結局文章のリズムから書き直しが多いですwこの記事も何回か見直しているというのが本音です。
そのほかにも、会議の音声データをサマライズするといった事にはかなり使いやすい印象です。
また、長文の記事やレポート、PDFなどの情報をまとめる際にも、生成AIを活用しています。とりあえず概要を把握したかったり、自分が思うがままの情報を殴り書きした後に要点をまとめてもらうなど便利です。
既存の内容の使いまわしたアウトプットを作る。
既に似た正解があるものを作るというケースだと、生成AIはかなり高品質に再現が可能です。
先ほどお話したセミナーページの作成にも、この方法を使いましたが、生成AIの活用テクニックとして「Chain-of-Thought」という考え方があります。
いきなり答えを求めると、その答えが上手く出なかったり間違えたりしますが、1個正解を出した上で答えを求めると、精度が飛躍的に情報します。
先ほどのセミナーページの例で言うと、以前開催したセミナーの内容を、生成AIにインプットとして渡した上で「この内容を元に、こういう風に作り直してください」と依頼すると、かなり高い精度で新しいコンテンツを作成してくれました。
イメージ図を作る
記事やプレゼンテーション資料に使用するイメージ図の作成には生成AIを積極的に活用しています。
伝えたい概念や内容を生成AIに伝え、最適な図を作成してもらうことで、視覚的にもわかりやすいコンテンツを作ることができます。
大事なのは審美眼と責任感
色々と各論のお話をしてきましたが、「生成AIを活用する時代のSEOコンサルタント」として、私が考える重要な点は審美眼と責任感と考えています。
自分の責任として出せるアウトプットは生成AIを使っても良い
自分が責任を持ってアウトプットできる内容であれば、生成AIを積極的に活用するべきだと考えています。
情報の取捨選択が出来る領域や、もともと背景知識がある領域において、生成AIの活用方法は無限にあると思っています。
たたき台を作り、その品質を高めていくフェーズ、6割~7割程度の成果物を作る時間は、生成AIによってかなりの時短につながると考えています。
極端に言えば、これは違うなと思ったものは削ったり、捨てれば良いです。使えるたたき台をたくさん作った上で、成果物の責任を背負えるのであれば、生成AIを使っていようがいまいがあまり関係のない部分と考えています。
生成AIが出したから…と言い訳したくなるものは控える
一方で、「生成AIが出したから…」と言い訳したくなるような内容は、その情報に価値はないと考えています。
仕事は責任に紐づいています。SEOコンテンツで言えば、上がる見込みが高く順位が狙える高品質なコンテンツを作るからこそ、高い価値があります。
ChatGPTに「高品質なSEO記事を作って。」と依頼すれば、それっぽい記事を作ることができますが、それが成立する世の中では(今は)無いなと思います。
これは、戦略を作ったり、数字の責任を負ったり、意思決定に介入するシーンでも同様かなと思います。
マーケティング系の業務の本質は人の心を動かすこと
私はSEO界隈の人間なので、マーケティングという文脈で語るのはおこがましいですが、この領域は人間の感情に触れてなんぼの世界かなと思っています。
生成AIの普及により、コンテンツの制作方法が変わることは間違いないですし、間違いなく効率化は進むと思っていますが、その一方で「生成AIを使った」というだけで価値が下がるという認識が広がると考えています。
現段階では、生成AIはかつてのパソコンと同様、あくまで最強のツールであり、何でも解決出来る魔法というにはもう少しだけ時間がかかりそうです。
一方で、今後生成AIの試行錯誤をしていくことで、少ない時間でより高品質なアウトプットを作る人が増えるのは間違いないです。
例えば、生成AIを使ってコンテンツのベースを作成した上で、自分の知見や経験を踏まえて内容を吟味し、オリジナリティのある情報を追加する。あるいは、生成AIを使って大量のデータを分析し、そこから独自の洞察を導き出すといった使い方が今後増えてくると思っています。
その為、ますます個人の能力強化に繋がり、自分とAIで組み合わせて出来ることが増えてくると思っています。
おわりに
生成AIの登場によって、SEOコンサルティングはもちろんのこと、既存のすべての業界における在り方は大きく変わるのは間違いないです。
この変化には正直、恐れもあります。ただ、基本的にはチャンスと捉えて、前に進むしかないんじゃないかなと思います。
今回はSEOコンサルタントという切り口から、生成AIの活用シーンについて色々考えてみました。是非感想などXであげてくれたら嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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