皆さんこんにちは、アイオイクス豊藏です。
前回書いた以下の記事が好評をいただきました。
今回の記事では、SEOコンテンツ制作において生成AIがもたらす影響を題材に、人間が持つべきスキルセットについて掘り下げていきます。
生成AIとSEOの関係性を探りながら、どのような場面でAIが有効で、どのような点で人間の価値が求められるのか、そのあたりを私の専門領域であるSEOを題材に考察してみようと思います。
コンテンツ制作の現場から見えるAIの影響
生成AIの進化は、「人間はいらなくなるのではないか?」という期待と、「まだ現場では通用しない部分がある」という現実との間のギャップに揺れ動いています。
私の仕事はSEOなので、まずは生成AIにとって身近なSEOコンテンツを例に現状を述べていこうと思います。
2024年10月はまだ人間が作るべき。手段を問わないならAIもOK
現在弊社はSEOを中心にWebコンサルティング事業を行っており、その中でSEOコンテンツの制作も担っています。そして今現在は制作にて、コンサル+ディレクター+ライターの体制を取っています。
一番大きな理由は、企業固有のデータやレギュレーションの解釈は人間の方が得意であり、独自性の残るコンテンツを作るには気配りと責任感が求められるからです。
・「どの事例につなげるべきか?」
・「どの情報を正として執筆するか?」
・「何を参照とし、どこに独自性を出すか?」
これらの判断には、まだAIだけでは対応しきれない部分が多く、人間の役割が重要です。
検索上位の記事を参考に、数をこなして流入を稼ぐ戦略はAIでも可能ですが、その結果として増えるメンテナンスコストや質の低下に繋がるリスクが残ります。
AIライティングツールのほとんどはインプットと同質化が課題。
AI SaaSの仕組みを活用する場合、インプットの質をいかに咀嚼して独自性を出すかが課題になります。質を担保せずにAIを使って早く仕上げても、人間の持つ審美眼によって審査されていないコンテンツは後々問題となり、結果として余計な手間が発生することになります。
私は生成AIツールが超えるべき要点は以下と考えています。
- 人間が読みたいと思うリズム感や文章か?
- 情報が単調ではなく面白味を感じるものか?
- 文章が目に留まるか?頭に入ってくるか?
- 情報は一般論ではなく、独自の観点を含んでいるか
上記を守れないコンテンツは価値が少ない時代になってきたなと思います。
シンプルなKnowクエリを人間が執筆する意義は減りそう
情報提供が目的の検索に対する回答は、AIでも十分に対応可能になってきました。最近のAIツールを触っていて感じますがインターネット上の情報を抽出・整理する能力は既にAIの方が強いです。
単純に上位表示記事を比較し、データを食わせるフロー程度なら個人でも作れてしまいます。ただ、クオリティを更に上げるには結局人間の力が必要です。結果的に、7割のアウトプットを9割にするためにの労力が跳ね上がるため、実運用まで一元化して取り組んでいるケースは少ない印象です。
ただ、更に技術が進むとKnowクエリの上位記事を生成AIで作るのは時間の問題ですし、最近流行りの生成AI検索エンジンであるFeloやPerplexityが遅かれ早かれユーザーの大分母の流入を獲得するのではないかなと思います。
そういう意味で、Knowクエリの執筆意義はずいぶん減ってしまいそうですね。
論理や効率だけでは不十分な時代
生成AIを活用する中で、以下のような情報がコモディティ化している印象があります。
- 今すぐ使えるノウハウ
- 単純で直線的な論理
- 効率化と生産性向上の知識
これらは「わかりやすい正解」として集約されていきますが、その価値自体が低下していると感じます。
山口周さんの「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」という本にこんな記述があります。
「彼ら(世界のエリート)は極めて功利的な目的のために「美意識」を鍛えている。なぜなら、これまでのような「分析」「論理」「理性」に軸足をおいた経営、いわば「サイエンス重視の意思決定」では、今日のように複雑で不安定な世界においてビジネスの舵取りをすることはできない。」
「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか」
この本では「論理・理性的な情報処理スキルの限界」や「自己実現的消費が増えている」こと、「システムの変化にルールの制定が追い付かない状況」が増えていることから、哲学や芸術的思考の重要性を述べています。
この本は2017年に出版されていますが、生成AIが広がっている現在の価値観において、ますますマッチしてきているなと感じています。
人間に求められる共感とストーリーテリング
「何を言うか」よりも「誰が言うか」、そして「どのように共感を得るか」が今後ますます重要になっています。生成AIによって正解が容易に見つかる時代だからこそ、ストーリーを話せたり、共感の集まる人が目立ちます。
例えば、私の友人にCOUNTERの宮田さんという方がいますが、彼が話すストーリーは洞察力が優れているだけではなく共感を得るため、結果として多くの人から応援をされています。
また、私の元上司であるFaber Companyの本田さんは、SEOという競合しあう同業他社関係であっても若手からベテランまで好かれるという特殊能力を持っています。
こうした共感を生むビジネスパーソンは特別な魅力がありますし差別化される大きな要因になっており、生成AIによって答えが見つけやすい時代だからこそ、より際立つように感じますね。
コミュニケーションの強制力が失われたから物理的距離に価値が出る
コロナ禍も明けて、出社回帰する組織が増えてきました。
私個人だけで言うと、リモートワークになったことで1日の労働時間はむしろ増え、おそらく出社してたら同じ時間でさばけないな…と感じることが多いです。
ただ、一番大きな変化は、「対面が贅沢な時代になった」ように感じます。出社をしてる会社でも、企業の打ち合わせはリモート中心になりました。
物理が選択制になったことで、飲み会に行く人は行くし、行かない人は行かないようになりました。でもこうした時代に、あえて集まって酒を飲んだり、遊んだりする関係の希少さは昔よりも上がったような気がします。
AIを活用することで効率は上がりますが、最終的には人間の信頼性が求められます。苦手な人の正論を聞くよりも、好きな人の非合理な内容に面白さを感じてしまう価値観がますます浸透するように思います。
SEOはHowよりも、ますますWhatとWhyが求められる
ここで、私の専門分野のSEOに戻りますが、従来求められていた「検索順位を見る」「上位表示を分析する」「どのように執筆する」「こうすれば順位が上がる」という情報は今後ますます価値が減少すると考えています。
1つは、コンテンツ生成をするプレイヤーが増えたことで、検索結果の上位を取るためのコストパフォーマンスが悪くなったこと。もう1つは、Googleをはじめとした検索エンジンの進化とその代替手段が増えすぎていることです。
その一方で、SEOに取り組む過程で生まれる「事業的な価値を増やすオーガニックマーケティングの道筋」を見つける価値は残ると考えています。
生成AIに問いかけても、「何を露出させ」「なぜその取り組みをするか?」の意義や意味を決断するのは難しいです。その中でSEOはマーケティングの施策でありながらも、ブランディングの側面で価値をだすケースも多いです。
例えば、生成AIで自社の情報を調査してみると、
- あるテーマで全然情報が発信されていない。
- 間違っている。
- 適切な強みが打ち出せていない。
こうした時にオーガニックな領域でどのようなプレゼンスを作るべきか、どんな情報を発信していくべきかといった部分に汗をかくのが、SEOに強みを持っていた人間の役割になるように感じています。
おわりに
24年5月にも「生成AIを活用するSEOコンサルタントの心得-生成AIを使うべき業務とそうではない業務-」という記事を書きましたが、当時感じていた未来がより近く、具体的になりつつあると感じています。
生成AIはもはや自身の業務や取り組みに欠かせないツールとなり、何でも相談するようになりましたが、結果情報の質も量も範囲も上がり、むしろ人生で一番今が頭を使っているような気持ちにすらなります。
技術的な可能性が広がることによる明るい気持ちと、このスピードで技術が進化することによる環境の変化から生じる不安な気持ちが混在する毎日ですが、「今現在の環境において人間の出すべき価値は何か」を考え、AIと共存していけたらなと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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