こんにちは、遠藤(@KouzaburouE)です。
新型コロナウイルスの影響により、この一年間でインターネットの需要は急激に高まりました。
2020年5月に発表された野村総合研究所の研究結果では、8割以上の人がインターネットをほぼ毎日利用しているというデータもあります。
そのような背景もあり、BtoBの商材やサービスを展開する企業にとって、Webサイトは欠かせない存在になってきました。
なかでも、「Googleで○○と検索した方に対し、自社のWebサイトを通じて集客したい」と考えたことはありませんか?
そこで必要な施策がSEO(検索エンジン最適化)です。
この記事では、「BtoBのビジネスを営む企業がいまSEOに取り組むべき理由と方法」について、特徴や重要性を解説します。
BtoBビジネスを営む企業がWEBサイトの運用に力を入れる理由
BtoBのビジネスにおいては、検討者、情報収集者がサービス認知や商品契約に至るまでの遷移の中で、Webサイトが大きな役割を果たします。
理由① ユーザーの半数が情報収集の手段としてネットを活用している
2019年1月発表のITコミュニケーションズの調査結果では「BtoB商材を購買、利用しているユーザーの約半数(49.7%)が製品やサービスの導入を検討した際に、スマートフォンで企業のWebサイトを閲覧している」とされています。
同調査では、製品やサービスを検討した際、スマートフォンで企業のWebサイトを閲覧したかを質問。その結果「スマートフォンで閲覧した」が49.7%、「スマートフォンで閲覧しなかった」が49.7%と同率に。BtoB商材でも、製品やサービスを検討する段階においては、PCとスマートフォンを使い分けて情報収集していることが明らかになった。
BtoB商材の情報収集、約半数がスマホで企業サイトを閲覧【ITコミュニケーションズ調査】:MarkeZine(マーケジン)
また、検討するきっかけには各種Webメディアが43%、提供企業のWebサイトが27%と、テレビや新聞などのマスメディアを抑えて70%となりました。
引用:BtoB商材の情報収集、約半数がスマホで企業サイトを閲覧【ITコミュニケーションズ調査】:MarkeZine(マーケジン)
このデータから読み取れるように、BtoBのビジネスを営む企業にとって、Webサイトの集客に力を入れないことは大きな機会損失に繋がります。
この流れがコロナ禍において加速しているのは、容易に想像できます。
理由② BtoB商材の購買に至るまでの所要時間のうち、社外とのコミュニケーションは17%しかない
BtoB商材を購買・利用しているユーザーの半数は、スマートフォンで情報の収集をしている事実を把握されていても、「それが直接的にWebサイトを改善することの理由には繋がらない」と感じる方もいるかもしれません。
また、「業界の中でもニッチな商材だから」という理由から、Webサイト運用にコストをかける事をためらう経営者の方もいらっしゃいます。
しかし、事実としてもうひとつ受け止めなければならないことがあります。
アメリカでSaas領域をメインとしたITツールを比較しているガートナー社の調査結果によると、BtoB商材を購買、利用しているユーザーは商品を検討する段階で情報収集を行っており、売り手企業とのコミュニケーションは総時間の17%に過ぎないとのことです。
また、検討時間における社内の打ち合わせ時間を除くと、調査の6割がオンラインということになります。
この結果からもわかるように、BtoB商材を購買、利用するユーザーはただ情報に触れているのではなく、企業のサイトを見ながら、商品やサービスの検討をしていることがわかります。
そう考えると、それより前の段階で競合企業よりも早く認知をしてもらうことも必要です。
あるキーワードで検索された時に競合ではなく、自社のサイトが「上」に表示されることで、購買に至る可能性を高め、競合優位性を取ることができます。
そのためには、Webサイト内の情報設計・コンテンツをユーザーのために改良、拡充する必要が企業にはあります。手を付けていない企業は遅れを取ること間違いありません。
そのために重要な施策がSEO(検索エンジン最適化)です。
そもそもSEOとは?
SEOとは「Serch Engine Optimization」(訳:検索エンジン最適化)の略であり、「サイトとコンテンツを最適化して検索を通じた接点を増やす施策全般」を指します。
SEOを実施することは、狙いを定めた検索キーワードや、それに関連した検索において、未来の顧客と接点を生むことを意味します。
具体的には、サイト内の構造やコンテンツを拡充・改善し、WEBサイトの外から見えない内側のチューニングを行います。
SEOは2000年代から普及し始め、2010年以降にWebマーケティングの一般的な施策として市民権を得てきました。
しかしながら、昨今では一般化してきたからこその失敗も見られます。
- コンテンツのSEOを間違って解釈し、闇雲にコンテンツを拡充してしまう
- 内容に一過性がなく、Webサイト閲覧者の課題を解決しにくい設計にしてしまう
- タグにキーワードを詰め込む等、古い知識や断片的な情報で施策を行ってしまう
- 見た目を気にするがあまり、フォントや画像が重く、表示に時間がかかる仕様にしてしまう
- 施策後に検証を行っておらず、次のアクションが不明瞭な運用をしてしまう
SEOを行う上では、検索者が検索する意図を正しく把握し、検索者の課題を解決するような内容でWebサイトやページを作らなければなりません。
特に検索エンジンの代表格であるGoogleは、検索者を満足させないWebサイトや各ページを上位表示させないために、日々更新を繰り返しています。
そのような状況下でBtoBのビジネスを営む企業は、どのようにしてSEO施策に取り組むべきでしょうか?
BtoBビジネスのSEOを成功に導く進め方 5ステップ
SEOを始める前には、改めてサイトの運用目的を意思決定者と確認しておく必要があります。
以下は以前の私のツイートですが、このツイートでいう①~③がそれにあたります。
SEOを含むプロジェクトの準備は以下
①マーケのターゲット・コンセプトの共有
②SEOへの期待とリスクを言語化
③①と②を意思決定者と合意
④期待と現状のギャップを洗い出し
⑤リソース・期間を確保
⑥KGI・KPIを設定④~⑥において社内に知見がない場合は、専門のベンダーに相談がおすすめ
— 遠藤幸三郎 / Web集客を支援する人 (@KouzaburouE) February 18, 2021
会社の経営課題を認識した上で、その課題を解決するために検索者の流入を増やさなくてはいけない場合は、SEOに取り組みましょう。
また、昨今のコンテンツによるSEOの流行もあり、SEO=記事コンテンツ制作と認識されがちですが、そうではありません。
SEOはサイトを通してのユーザーと企業の信頼関係を構築、醸成することで成立する施策です。
- ユーザーにとって信頼を得られるサイトデザインか
- ユーザーが利用しやすいサイトの導線設計ができているか
- ユーザーにとって有益で価値のある役立つ情報を提供できるか
の3つの要素を満たし、機能させることでユーザーとの信頼関係を築くことができます。
ここからは、私のツイートでいう④~⑥とそれ以降の運用にあたる、「SEOを行うために意識しておきたい5つのステップ」を解説します。
STEP1.基本的なSEOの項目を知り、サイトが良好な状態にあるかチェックする
まずは現在運用しているサイトの健康診断をしておくことをおすすめします。
サイトも人と同じで、病気を抱えたままで筋トレをしても健康にはなりません。検索エンジン(Google)が定めるルールに自社のサイトの要件は満たされているかを確認しましょう。
まずチェックしておきたい基本項目として、以下のような点が挙げられます。
- URLが暗号化され、安全性は高い状態にあるか(SSL化されているか)
- サイトのHTMLの記述は正しいか
- 顧客にとって使いやすいサイトとなっているか
こういった項目を参考に、サイトの土台を見直していきます。
チェック項目は多岐に渡りますが、基本的な項目を以下の記事にまとめていますので、まずはこちらを参考にしてみてください。
※参考記事:2020年以降に必要なSEOの考え方をまとめたチェックリスト41項目
STEP2.ビジネス・ユーザー視点からSEOの対象とするキーワードを選定する
次のステップとして、目的達成のためのキーワードを選定します。
検索キーワードとは、ユーザーの不安や悩みがテキストで表現されているものです。例えば「〇〇 料金」「〇〇 評判」といった検索キーワードを見たことはないでしょうか。
それらの検索キーワードの裏側に潜む心理を読み解くことが、検索エンジンを通じたユーザーとのコミュニケーションにおける重要なポイントです。
まずは来てほしいユーザー像を明らかにする
キーワードを選ぶ際には、キーワードだけを見て判断すると、逆に遠回りになることがあります。
まずは自社のお客様が普段何を考えているか、どのような情報を欲しているかを想起し、ざっくりとユーザー像を明らかにします。
ユーザー像を明らかにできたら、次はそのユーザーが検索しそうなキーワードを考え、洗い出します。
例えば、BtoBに関連するキーワードでは、ユーザーが検索するキーワードを3種類に分類可能です。
- 情報収集段階で類似品・代替品の調査系や事業課題系のキーワード
SEOを売りたい場合:「Web集客 広告」「SNS 集客」など - 検討時の比較系キーワード
SEOを売りたい場合:「SEOコンサルティング 比較」「SEOコンサルティング おすすめ」など - 「ブランド名・商品名」などの指名キーワード
例:「アイオイクス SEO」「SEO コンテンツ アイオイクス」など
この切り口に沿って、キーワードを想起していくと、大きな漏れなく洗い出せるでしょう。
また、自分だけで考えられる数には限りがありますので、会社の営業担当や、製品を利用するお客様にヒアリングするのも有効な手段です。
中でも1の情報収集段階のキーワードの多くは、市場に属す人やその会社のもつ経営課題であることが多いため、ヒアリングすることで有益な情報を取得することも可能です。
キーワードは、1から3に移行するにつれ、直接の問い合わせや購買に繋がるキーワードとなります。
1つ目の情報収集段階のキーワードは、課題がまだ見つからない状態です。その解決策や方法を探っている段階で、情報収集をしています。
「自社が抱える課題の解決手段を決めてない顧客」に商品名や価値を認知いただき、課題解決の検討段階に載せることでビジネスチャンスをつくることが可能です。
2つ目の検討キーワードを検索しているユーザーは、課題への解決策を理解し、なにかしらの行動を起こすことも想定されます。
問い合わせに至りやすいキーワードは、競合他社も狙う可能性が高いため、機会損失を防ぐためにも自社サイトで優先的に取り組むようにしましょう。
比較検討系キーワードは、第三者が情報提供する比較サイトが上位表示しやすい傾向にあります。
また、個人が運用するサイトよりも、規模の大きい大手比較サイトの方が上位表示されやすいため、比較サイトへの寄稿や広告出稿による製品名や企業名の露出を狙う施策も有効です。
キーワードの洗い出し方については、以下の記事も参考にしてください。
※参考記事:オウンドメディアを立ち上げるなら覚えておきたいキーワードの選び方
STEP3.SEOの指標を設定し、やることを決める
SEOは、前述したようにユーザーとの信頼関係を築くことで成立します。
プロジェクトにおけるKPIは、「将来顧客になりうる検索者をサイトに導けているか?」を定量的に表す指標が良いでしょう。
指標は事業内容、市場、競合サイトの施策状況など、STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)によって、重要なものが異なります。
課題が”指名検索における取りこぼし”である場合は、「ブランド名・商品名を含むキーワードでの検索流入数」が良いかもしれません。
もし”潜在顧客リスト獲得のための接点増加”である場合は「特定ワードを含むキーワードでの検索流入数」が良いかもしれません。
このKPIの設定が、施策の優先度を決め、成功の可否へとつながります。
定期的に見直し、本質的にやるべきことに集中できるKPIを設定しましょう。
そして設定したKPIに効果が寄与する施策を絞ります。
その中で最短距離で効果を得るためには、もっとも費用対効果の良い施策方法に絞らなければなりません。
- 「ブランド名・商品名を含むキーワードでの検索流入数」をKPIにした場合、なぜ”指名検索における取りこぼし”が生まれているのか、その原因を解消する施策は何か?
- 「特定ワードを含むキーワードでの検索流入数」をKPIにした場合、検索者が閲覧したいコンテンツページはあるか、ない場合は新設すべきか、既存ページを改修すべきか?
- KPIの前提となる、土台として大きな影響を及ぼしているサイト設計の致命的なミスはないか?
- 「ブランド名・商品名を含むキーワードでの露出数」をKPIにした場合、自社サイト以外のアーンドメディアでできることはないか?
など、特定の「解決したい事象」を構成する要素に最もインパクトのある施策を選定します。
「とりあえず事例記事で見たやれそうなことをやったけど特に結果が出ない」という経験をした方もいらっしゃるかと思いますが、それはKPI設定とそれに基づく施策の選定ができていないことが要因です。
もし、課題を見つけられなかったり、KPIが正しく設定できているかどうかがわからない場合、SEOに関する知識・知見が不足している背景が考えられます。
その場合は、以下の”SEOガイド”の資料も参考にしてください。(PDFをダウンロードできます)
STEP4.ページの作成・サイトの改修
実施する施策が絞り込めたら、サイトの管理権限や改修フロー、変更に関連する関係者への確認を実施しましょう。
いまのサイトの管理方法や運用方法によっては、大きなリスクを伴うために「できない」と判断せざるを得ない施策もあります。
その場合は制約条件を詳細に把握し、代替案を検討しましょう。企業の組織構造によって、サイトの構造・運用方法はさまざまです。
Webサイトを基盤としたWebマーケティングでは、サイト運用における利害関係者との調整を経て、サイトを改修していくことが欠かせません。
また、無料と捉えられがちなWebのインフラですが、改修やソフトウェアの載せ替えにはある程度のまとまった資金が必要です。
決裁者の合意形成も欠かさず行っていく必要があります。
一人で抱え込まず、必要な情報と有用性、また実行における費用が必要と判断した過程に至るまで、関係者を巻き込んで納得を得るように努めましょう。
STEP5.結果検証、考察、改善立案、実行を繰り返しSEOを運用する
適切なキーワードに最適化されたコンテンツページとサイトの構造が完成したら、結果の検証、考察、次回への改善立案を意識しながら改善案の実行を繰り返します。
コンテンツは出して終わりではユーザーのニーズに答えることができません。検索のニーズは日々の事象によって変わり続けます。
また、言葉や文脈も日々変わり続けます。
また、Google サーチコンソールを見ながらクリック率の改善や露出機会の増加がみられない場合は、コンテンツが評価されるように何度も調整を繰り返すことも大切です。
Google アナリティクスやヒートマップツールを用いて遷移率や直帰率、滞在時間を併せて見ながら、ユーザーが真に求めるコンテンツと体験を提供しましょう。
【まとめ】BtoBのSEOは1~2年単位で取り組む
新規顧客の獲得を目指した時に、Webサイトは検索エンジンに存在するユーザーを呼び込み、サービスや商材を認知してもらうきっかけとなります。
そのための手段として検索エンジンを使ったWebマーケティングは有効なひとつであり、各コンテンツを通じて未来の顧客との良好な関係を築きましょう。
ここで紹介した5つのステップは、スタートからビジネス的に大きなインパクトがでるまでおおよそ1年以上はかかります。
SEOを行ったサイトは、長い期間で恩恵をもたらしてくれるため、事業において大きな資産となるでしょう。
また、刻々と変わるSEOの世界では、「昨日の常識は明日の非常識」となることもあります。
判断に迷ったら、専門家の知見を借りることも視野に入れていただければ幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。今後もより有益なコンテンツ発信をしていきますので、Twitterもフォローいただけますと幸いです。
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