SEO用のページでA/Bテストを行う場合、次のようなことが気になるかもしれません。
・A/Bテストでページ内のテキストやボタンの配置を変更しても問題ないか
・A/Bテストの結果、ページ内のテキストやボタンの配置を変更しても問題ないか
・クローキングとみなされることはあるか
・A/Bテストを行うページの読み込みが遅くなるが、問題ないか
・リダイレクトテストを行う場合、ページが重複してしまうがどうすべきか
結論から申し上げると、上記は問題無いか何らかの対処法があるため、心配する必要はありません。
今回の記事では、これらの疑問にお答えさせていただきます。
尚、本記事では、多くの方が使用しているであろうGoogleオプティマイズを前提に説明しますが、他のA/Bテストツールも似たような仕組みになっているかと思いますので、本記事の有用性や一般性については問題ないと考えております。
A/Bテストでページ内のテキストを変更しても問題ないか
結論:問題ありません
この問題を気にされている方は、A/Bテストによってページ内のテキストなどが変更されることで、検索エンジンからの評価が変化することを懸念しているのだと思います。
これについては、全く気にする必要はありません。
A/Bテストツールは、ページが読み込まれた際に、まずオリジナルページが読み込まれ、次にテストパターンがオリジナルを上書きする形で表示されます。
オリジナルページとテストパターンを含むページのうち、検索エンジンがインデックスするページはオリジナルのみであるため、A/Bテストが検索順位に影響を与えることはありません。
A/Bテストの結果、ページ内のテキストやボタンの配置を変更しても問題ないか
結論:問題ありません
A/Bテスト中においては、SEO上の問題がないことを説明しましたが、A/Bテスト後に本番反映した際はどうでしょうか。
これについては、インデックスされるページの内容が変わることになりますので、影響がゼロということはないと考えられます。
ただし、恐らく、ネガティブな影響よりはむしろポジティブな影響があると考えることができます。
ABテストによってページの内容自体が大幅に変更されることは通常ありませんし、そうしたい場合は別記事を用意すべきです。
また、A/Bテストによって実装されるパターンは、オリジナルのCVRを上回ったパターンであるはずで、そのパターンによって、元のページよりUXが向上することが期待できます。
UXが向上すると、SEO上、間接的にポジティブな影響があると考えられますので、心配する必要はありません。
参考:SEOを行う際にCROを導入すべき3つの理由:集客力と接客力を効率的に改善する方法
参考:オプティマイズと Google 検索
クローキングとみなされることはあるか
結論:基本的にはありません
※クローキングとは、ユーザーに見せているコンテンツと異なるページを検索エンジンに提示し、検索順位に影響を与える行為のことを言います。
A/Bテストツールでは、オリジナルページと異なる内容を表示するため、クローキングの心配をされるかもしれません。
これは以下のようにGoogleが述べている通り、まともなテストであれば心配する必要はありません。
オプティマイズなどのテストツールを適切に利用することはクローキングとはみなされません。
引用元:オプティマイズと Google 検索
では、“適切”ではないケースはどんな時か?ということなのですが、それはGoogleが述べているガイドラインに沿っていない場合だと考えられます。
ガイドラインを解釈すると、下記2点に注意してA/Bテストを行うことで、クローキングだとみなされないと考えられます。
① オリジナルとテストにおいて、ページの内容を大きく変更しない
例えば、元が教育関連のページで、テストページがギャンブルの内容ではクローキングに当たります。
アウトとセーフの境界を明言することはできませんが、テストパターンを作成する際は常識の範囲内で変更するようにしましょう。
② 結果が出たらA/Bテストを終了し、本番ページに反映する
テスト結果が出たらテストを終了し、結果が勝ちであれば実装しましょう。
結果が出た後にテストを終了せず放置してしまうとクローキング扱いになるかもしれません。
また、CVの観点からも、結果が出た後はすぐに終了し対処したほうが良いです。
テストパターンが負けの場合、その負けパターンを表示し続けてしまうと本来獲得できていたCVを逃すことになります。
勝ちの場合、できるだけ早めに勝ちパターンを実装したほうがCVが増えます。
(実装が難しい勝ちパターンの場合は、応急処置的な意味で勝ちパターンのインプレッションを100%で配信する場合がありますが、その期間は短くしたほうが良いと考えられます)
A/Bテストを行うページの読み込みが遅くなるが、問題ないか
結論:対処法があります
A/Bテストツールを導入したページでは、ページスピードが遅くなったり、チラつきが起きることがあります。
チラつき:オリジナルのページが一瞬表示された後にテストパターンが表示される現象です。オリジナルを読み込んでからテストパターンを上書きするために起きます。
一般的に、ページスピードの遅延やチラつきはUXを損なうため、CVRに悪影響を及ぼします。
参考:サイト表示が2秒遅いだけで直帰率は50%増加! DeNA事例から学ぶWebの自動最適化手法/日本ラドウェア
これらを緩和する方法は大きく2つあります。
① テストパターンに用いるクリエイティブを軽くする。
テスト用の画像などのクリエイティブが重いと読み込みに時間がかかり、ページスピードが低下したり、チラつきが起きやすくなると考えられます。
そのため、画像のサイズを減らすなどの対処を行いましょう。
また、テストパターンの変更箇所が多い場合は、変更箇所を複数のテストに分割して行いましょう。
② アンチフリッカースニペットを用いる
これは主にチラつき対策です。
アンチフリッカースニペットを用いると、ページが表示されるまでの間はページが非表示になります(ユーザーに白紙のページを見せます。ほんの一瞬です。)。
これによって、ユーザーが感じるチラつきを軽減できます。
ただ、その代わりに白紙のページを一瞬だけ表示することになるため、ユーザーとしてみればどちらにせよ違和感はあります。
とはいえ白紙のほうがマシだと思いますので、チラつきが気になる場合は導入したほうが良いでしょう。
アンチフリッカースニペットを導入する場合は、下記のコードを<head>セクションに記述してください。
<style>.async-hide { opacity: 0 !important} </style>
<script>(function(a,s,y,n,c,h,i,d,e){s.className+=' '+y;h.start=1*new Date;
h.end=i=function(){s.className=s.className.replace(RegExp(' ?'+y),'')};
(a[n]=a[n]||[]).hide=h;setTimeout(function(){i();h.end=null},c);h.timeout=c;
})(window,document.documentElement,'async-hide','dataLayer',4000,
{'GTM-XXXXXX':true});</script>
※GTM-XXXXXXにオプティマイズのコンテナIDを入力してください
※4000はページの表示されるまでの待機時間です。単位はミリ秒なので、4000で4秒です
参考:オプティマイズのアンチフリッカー スニペットの使用
リダイレクトテストを行う場合、ページが重複してしまう
結論:対処法があります
A/Bテストは同一URLで行うのですが、リダイレクトテストは複数のURLにページを用意し、それぞれのURLにユーザーを振り分けることでテストを行います。
この場合、同じようなページが複数作られてしまうことになり、SEO上、ページの重複が問題となります。
この問題、canonicalを使用することで解消できます。
テストページから正規ページ(オリジナル)に向けてcanonicalを設置することで、検索エンジンに正規ページがどのURLなのかが伝わり、重複を解消することができます。
実装については、下記のコードをテストページの<head>セクションに記述するだけで完了です。
<link rel="canonical" href="正規ページのURL">
まとめ
今回の記事では、A/Bテストを行う上でSEOの観点から気になることをまとめてみました。
- A/Bテストでページ内のテキストやボタンの配置を変更しても問題ないか?
-
問題ありません。
- A/Bテストの結果、ページ内のテキストやボタンの配置を変更しても問題ないか?
-
問題ありません。むしろポジティブな影響があると考えられます。
- クローキングとみなされることはあるか?
-
基本的には問題ないですが、オリジナルとテストパターンの変更は常識の範囲内で抑え、結果が出た後はできるだけ早く対処しましょう。
- A/Bテストを行うページの読み込みが遅くなるが、問題ないか?
-
UXを損ないますので、テストのクリエイティブを軽くしたりアンチフリッカースニペットを用いて、表示速度やチラつきを軽減しましょう。
- リダイレクトテストを行う場合、ページが重複してしまうがどうすべきか?
-
canonicalを使うことで重複の問題を解消できます。
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