こんにちは、アイオイクスのタッキー(@tackey_cro ) です。
普段はSEO・CRO(コンバージョン率最適化)のコンサルタントとして、お客様のサイトのフォーム改善やコンバージョン導線の設計などを支援しています。
今回は、フォームの最適化(EFO)を行う上での、30個のポイントと考え方について解説します。
フォームを最適化すべき理由
この記事を書いた目的は、世の中からイマイチなフォームを少しでも減らすためです。
世間に存在する標準的なフォームは、大きく以下の3つに分けられます。
- 量産型フォーム
インターネット上にあるフォームの最大公約数的フォーム。ただし、姓名がバラバラだったり、メールアドレスの2回入力が必須だったり、惜しいフォームとなっている。 - マーケティング重視型フォーム
自社のマーケティングに必要なアンケートなどが含まれているタイプのフォーム。自社都合の項目により、突破率が低くなっている傾向にある。 - アレンジ型フォーム
①に加え、独自の項目を加えているタイプのフォーム。①より突破率が低い傾向にある。
フォームは、ユーザーがサイト上でサービスの申し込みや商品を購入を行う際に必ず通るページです。
しかし、最適化されていないフォームはユーザーの行動意欲を削ぎ、フォームから離脱する要因を作ってしまいます。
せっかくユーザーが自社のサイトで何かポジティブな行動を起こそうとしていたのに、フォームの仕様がそれをはじいてしまうのはもったいありません。
あなた自身も、世の中のフォームが最適化された方が便利にインターネットを利用できるはずです。
この記事は、そんなユーザーに優しい世界を作るために書きました。
フォームを使いやすくすることで、ユーザーもサイト運営者も得をする
フォームが使いやすくなれば、CVRが向上し貴社の売上が増えますし、ユーザーのストレスやフォーム入力時間が減るので、サイト運営者もユーザーもどっちも得をします。
ちなみに、20歳以上の人(約1億人)にフォーム入力機会があるとして、フォーム入力頻度を仮に0.5回/月、EFOによって節約できる時間を仮に10秒/回とすると、日本全体・1ヶ月で15年分の時間を節約できることになります。
というわけで、ここからはフォームを改善する際に、最低限実装しておきたい項目を30個列挙します。
これらの項目を実装いただくことでフォームの突破率が向上し、多くのメリットが得られることでしょう。
最低限チェックしておきたいEFO項目30選
EFOでできることは数多く存在し、サイトによっても多少変わってくるものの、この記事では多くのサイトに共通して実装可能な、最低限チェックしておきたいことを厳選してご紹介します。
ここに書いてあることを単に実行するだけでも、コンバージョン率の向上が期待できます。
フォームの利便性を高める(17項目)
1.フォームの付近に電話番号を記載する
フォーム入力そのものが面倒くさい、面倒くさそうというユーザーは意外と多いです。特にユーザーの年齢層が高めのサイトであればその傾向が強まります。
このようなサイトには、フォームの冒頭や追従CTAに電話番号を記載しておきましょう(スマホならタップ可にしておく)。
この施策によって、フォームを煩わしいと感じるユーザーの取りこぼしが減ります。
もちろん、フォームに入る前のCTAに電話番号を用意しておくことも忘れないでください。
2.ページを閉じられそうになったらポップアップする
フォームを途中で閉じる場合、少なくともフォームを入力する意思がなくなったということが言えますから、別の手段でCVを促しましょう。
その1つがポップアップに電話番号などを書いておくことです。
ポップアップは必ず目に入りますので、そこに電話番号などを書いておけば、CVする機会が増えます。
3.入力中の項目の色を変える
地味に便利なこの機能。
入力中、たまにどこを入力しているかわからなくなることがありますが、その迷子状態を防ぐことができます。特に入力項目が多いサイトは忘れずに実装しましょう。
4.郵便番号入力から住所自動入力
一般化している施策ですが、まだまだこの機能が実装されていないフォームを見かけます。
県や市の入力が手間なことは誰しもが実感していると思いますので、必ず実装しましょう。
5.全角・半角の指定を解除する
全角・半角の切り替えは面倒なので、どちらで入力しても正しくフォーム入力が完了するようにしてください。
6.ハイフンの指定を解除する
ハイフンの有無についても、どちらでも問題ない仕様にしてください。
7.確認ページを削除する
確認ページはなくても大きな問題はありません。
フォーム完了までをスムーズに終えてもらうために、確認ページはなくしましょう。
8.メールアドレスの入力は1度のみにする
優先的に改善したい項目トップ3くらいに入ります。
1度誤ってしまうともう1度誤ってしまうケースが多いため、2つ用意しておくメリットはあまりありません。ユーザーに負担を強いるだけなので消しましょう。
9.姓名の入力欄を1つにする
データベースに姓名を分けて保存しておきたいと思ってのことかもしれませんが、それは企業の目線です。
ユーザーの利便性を考え、姓名の入力欄は1つに統一しましょう。
10.フリガナの欄を削除する
フリガナもなくてもそれほど困らないことが多いため、思い切って消しましょう。
11.FAX入力欄は削除する
FAXを使う会社は少なくなってきているので、なくなっても問題ないでしょう。入力の手間を減らす方が重要です。
12.アンケートなどは可能な限り削除する
入力項目が増えれば増えるほど、突破率は下がります。まずはCVしてもらい、その後に関係を構築していく中で答えてもらいましょう。
申し込みの際にどうしても必要な情報があれば、可能な限り項目を減らし、回答しやすい形式にします。
13.リアルタイムでエラーを表示する
フォーム入力完了の送信ボタン押下後にエラーの修正を求められると、大きくモチベーションが低下する経験をしたことがありますよね。
離脱を予防するためにも、入力中にエラーをユーザーに伝えられるようにしてください。
14.必須項目入力後にCTAを表示する
入力完了だと思ってCTAを押した後に、未記入の必須項目を指摘されると、入力へのモチベーションが低下しますので、CTAは必須項目入力後に表示すると良いです。
15.入力欄を大きくする
入力欄が小さいと、単純に入力しづらく、ストレスが溜まります。
特にスマホではその傾向が強いので、入力欄は大きめにしましょう。
16.個人情報や利用規約の表示領域を減らす
個人情報や利用規約の領域が大きいと、単純に邪魔に見えたり、その領域内でスクロールしてしまって画面が進まなかったりと、不便なことが起きがちです。
できるだけ小さくしましょう。
17.CTAを目立たせる
「問い合わせをする」のようなボタンを押すまで、フォーム入力は完了しません。
目立つ色・大きさでユーザーの導線上に配置しましょう。
心理的負担を減らす(6項目)
18.フォームの目的を明示する
「フォームを入力した結果どうなるのか(資料をもらえるのか、ただ入力するだけなのか)」「何の商品に対するフォームなのか」などユーザーがフォームを入力する目的や入力した結果得られるものを記載しましょう。
これによって入力へのモチベーションが維持されやすくなります。
19.入力ステップのどこにいるかを確認できるか
「入力画面が何回続くのか」「ボタンを押したらどうなるのか」など、先が見えないと不安になるため、全工程と現在位置を記載してあげましょう。
20.入力フォームは1ページにする
入力フォームが何ページも続くのは精神的に負荷がかかりますよね。多少長くなってもいいので、なるべく複数ページに分けず、1ページにまとめましょう。
また、前提としてページを分割する必要がないくらいに項目を厳選しておくことも重要です。
21.項目の必須・任意を明記する
項目ごとに必須・任意を明記します。記載がないと、全部入力しなければいけないように感じ、離脱される要因を作ってしまいます。
また、必須項目はできるだけ少なくし、ユーザーの負担を軽くしましょう。
22.必須項目の入力残数を表示する
残りの必須項目数がわかるとモチベーションを維持しやすいため、必須項目の残数を表示しましょう。
表示する際は、入力の邪魔にならないところに表示します。
23.入力欄に入力例を記載する
入力例が入力欄に薄いグレーなどで書いてあるフォームを見たことがあると思いますが、それです。プレースホルダ―といいます。
入力例があると、ユーザーが入力内容で考える負担が減るため、入力率が高まります。
スマートフォンで入力するケースを意識する(4項目)
24.余白を確保する
スマホの場合、余白が少ないと誤タップが増えてストレスが溜まります。
入力欄同士の余白を確保し、入力しやすくしましょう。
25.プルダウンを減らしラジオボタンにする
スマホでプルダウンから選択するのは意外と面倒ですよね。特に都道府県のように項目が多いもの。そのストレスを減らすため、フォーム上にラジオボタンなどで選択肢を表示しておきましょう。
この際、表示する選択肢が多いとユーザーの心が折れる可能性がありますので、項目は厳選します。
26.入力中の項目に対応したキーボードを表示する
アルファベットや数字など、入力内容に応じたキーボードが表示されると、ユーザービリティが高まり、ユーザーに負担なく入力してもらえます。
27.電話タップボタンを設置する
スマホの場合、電話タップボタンから簡単に電話をかけられるため、フォームに入力したくないユーザーのために、電話タップボタンを設置しましょう。
入力に集中してもらう(3項目)
28.CTA以外のリンクをすべて削除する
リンクは離脱の原因になります。
ヘッダー、フッター、サイドバーは削除し、それら以外にも離脱の原因になるリンクは削除しましょう。
理想的には、フォーム内のリンクはCTAのみという状態です。
29.ページを1カラムにする
入力に集中してもらうために、フォームの設置ページのレイアウトは、1カラムにしましょう。
30.リセット・クリアボタンは削除する
リセット・クリアボタンは削除しましょう。
せっかく入力したフォームを丸ごと消したいケースがあまりなく、その場合は更新やブラウザバックなど、他に方法があります。
また、フォーム入力完了のCTAと誤ってリセット・クリアボタンを押したユーザーは著しくモチベーションが低下し、離脱する可能性があります。
どちらにせよリスクしかないため、リセット・クリアボタンは設置しないようにしましょう。
どうしても残したい場合は、極力目立たない色で極力小さく、フォーム入力完了のCTAから離して設置することを推奨します。
まとめ:EFOの考え方は「ユーザーファースト」
この記事で上げた施策を行えば、ユーザーがフォームで離脱することが減り、CVRの向上が期待できます。
その根底にある考え方は何かというと、「ユーザーファースト」です。サイトでの主役はユーザーなので、常にユーザーのことを考え、使いやすい工夫を考え続けることが大事です。
コピーライティングの世界では、「ユーザーが断れない強力なオファーを書け」とよく言われますが、それと同じで、ユーザーが入力を拒否できないくらい使いやすいフォームを作りましょう。
下のエクセルでは、各項目を点数化していますので、フォームの出来栄えを大まかにチェックできます。点数は私の独断です。
よろしければ、フォーム改善の際に使用してみてください。
また、成果が出た場合は、具体的な方法をブログで公開したり、知り合いのWeb担当者などに共有いただければと思います。そうすることで、日本全体で見た際のフォーム改善速度は高くなるはずです。
今、あなたが取り組もうとしているのは、表面的にはEFOですが、日本全体の生産性を高める活動でもあります。しっかり取り組んでいきましょう。
この記事にない項目や、サイトのコンバージョン改善に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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