アイオイクスの石戸です。私はSEOコンサルタントとして、4年以上に渡ってお客様のSEOプロジェクトの支援を行ってきたのですが、その中で大切にしてきた考え方があり、今回はその考え方について触れたいと思います。
ありがたいことに匿名の顧客満足度調査にて、私の名前を挙げて評価いただいたこともあり、事業会社のマーケティングに携わる方にとっても重要な考え方になると思います。少しでも参考になれば嬉しいです。
多くのプロジェクトに携わってきた中で、肌身に染みて感じているのが、「SEOプロジェクトは施策の幅が広くて深い一方で、直感的に成果を実感しにくい」ということです。
SEOで成果をあげるためには、SEOという施策にしっかり向き合っていく必要がありますが、実体が捉えにくいものに向き合い続けるほど難しいこともなかなかありません。
そのような難しいことにお客様と向き合っていく上で、私が少なからず大切にしてきた意識を3つご紹介します。
うまくいかないことの方が多い
SEOは結果が出るまでの過程や、実際に何をしているのかということがブラックボックスになりやすく、わかりにくい施策であると考えています。
そして、SEOのコンサルティングにおいては、Webサイトを変更するために何か実装する必要がありますが、基本的にはお客様のリソースをもって対応いただくことになります。
そのような体制において、できるだけ結果に繋がる可能性の高い施策を起案して実施していくことになるのですが、正直なところ、うまく行かないことは多々あります。
工数のかかる実装をしていただいた割に、数値に大きな変更が起こらず、無風状態になったり。あるいは、逆に数値が下がってしまったりなど。
ここで大事なのは、うまく行かないことをただ悔んだり反省したりするのではなく、起案の段階から「少しでも結果に繋げるためには、何を考えて案を出すべきなのか?」と考えることだと思います。
もちろん、想定どおりに結果が出ないことを考慮して打ち手の数を増やすことも大事ですが、闇雲にリソースを費やすことのないよう、少しでも筋の通った仮説をもってプロジェクトを進めることが大切です。
打ち手を増やす大切さ
一方、打ち手の多さの重要性を物語る、Microsoft社のこのようなエピソードがあります。
Microsoft社はBingという検索エンジンを開発し運用していますが、80名以上の実験&分析チームを設置し、改善を加えているそうです。
そのチームにおけるゼネラルマネージャーであるロン・コハビ氏によると、新しいアイディアの成否を事前に判断するのは困難であるとのこと。
新しいアイデアのうち、どのアイデアが成功してどのアイデアが失敗するのかを判断するのは至難の業です。Microsoftの実験すべてをを見通してみると、約3分の1が効果的だと判明し、もう3分の1は特に影響を与えず、そして最後の3分の1は否定的な結果に終わっています。より良い結果を得るためには膨大な数の実験を行う必要があります。
https://gigazine.net/news/20190312-online-experiments-increase-annual-revenue/
あのMicrosoft社のアイディアですら、有効な改善の割合が3分の1であることを考えると、ある程度の失敗を視野に入れつつ、施策を行っていく意識が重要と言えるでしょう。
データは確認すべきだが、全てではない
SEOを実施する上で良いことの一つに、結果の数値をツールで確認しやすいことがあげられます。
Googleのツールで言えばGoogle AnalyticsやGoogle Search Console、他社のツールならAhrefsやSEMrushなど、様々なツールが充実していることはプロジェクトを進める上で非常に大きな助けになっています。
一方で、ツールが示す数字はその量も切り口も膨大で、どれだけ見ても「見終わる」ということはなく、一種の沼のようなものです。
Google Analytics一つとっても、以下のような数字を大量に確認できます。
(もう計測は終了してしまいましたが、ユニバーサルアナリティクスを例としています)
- ユーザー数
- ページビュー数
- 滞在時間
- 離脱率
- 直帰率
- コンバージョン数
しかし、これらのデータはこれまで行ってきた施策の結果を示すものでありながら、そのデータ自体が明確に何かを物語ってくれるものではありません。
データを確認して、そこに人の解釈を加えて初めて有効な示唆が生まれるのであり、データを眺めること自体に大きな意味はないと考えています。
むしろデータを眺め続けることでその数字に囚われてしまい、大局を見失ってしまうことすらあります。
結果の説明にはデータが必要ですが、そのデータに説明内容が引っ張られすぎないよう、意識することを日々大切にしています。データはあくまでもデータであり、事象の全てを物語るものではないのです。
楽なことではなく、手間のかかることを続ける
SEOという概念が普及してから既に15年近くが経過していますが、巷には多くの情報が溢れています。
SEO観点でのコンテンツの作り方、理想的なWebサイトの構造、被リンク獲得方法など、SEOの基本的な内容はもう全て公開されていると言っても良いでしょう。
実際に私がコンサルティングにおいて使っている知識も、本やWebサイトで学んだものを経験の中でブラッシュアップしてきたものです。
その知識のブラッシュアップの過程で、私は「楽なことを続けても大した成果には繋がらない」ことを学んできました。
例えば、Webサイトの基本的な技術課題は特定のツールにかければ、ほとんどワンクリックで網羅され、解決策が提示されます。
一方で、ツールにかけるだけでわかるようなことは、致命的なものを除けば、解消してもあまり大きな効果は見込めません。
成果に繋がる施策は、ツールが教えてくれる情報だけではわからないもので、「このWebサイトはどのような評価をされているのだろうか?」「獲得したいユーザーの本当のニーズは何だろうか?」と考え抜いた先にあるものばかりでした。
正直なところ、考え抜くことは手間のかかる作業で、非常に大変です。ただ、楽なことは他の人もすぐに取り組めるため、そこでは差が生まれません。
一つひとつのコンテンツに向き合ったり、Webサイトの全体像を設計して実装しなおしたり、そういう手間のかかることをいかに続けられるかが成果に繋がると、身をもって感じています。
終わりに
この記事で触れたことは、本当に基礎的なことで、目新しいものはないかもしれません。
しかし、これまで携わってきたSEOプロジェクトにおいて、以下の要素を意識して取り組んだことは、プロジェクトを次のステップへ確かに進めてくれました。
- うまくいかないことの方が多い
- データは確認すべきだが、全てではない
- 楽なことではなく、手間のかかることを続ける
もし成果が出ない時に、上のどれかに反するような施策やプロセスがあれば、一度向き合ってみると、改善のヒントが見えるかもしれません。
今回はやや抽象的な内容でありながら、SEOにおいては非常に大切な考え方についてまとめてみました。
今後はこの考え方をもとに、具体的な事象に触れていきますので、どうぞよろしくお願いします。
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