昨今、BtoBセールス・マーケティングの現場は、Web会議を中心にオンラインを起点としたものに移り変わりつつあります。
お問い合わせからご契約に至るまで、一度も対面せずに発注・受注することはもはや当たり前で、何の違和感も抱かなくなっていることと思います。
SEOやWebマーケティングの支援サービスを提供している弊社も例外ではなく、2020年の3月から今に至るまで、「一度も訪問せずに受注に至ったケース」が90%以上を占めています。
そのような中で、BtoBのオンラインマーケティングが自然と注目されており、Webサイトを起点とした集客施策に注力する企業が増えてきました。
例えば、施策の例を挙げると、
- リスティング広告・Facebook広告の運用
- ウェビナーの開催
- メールマガジンの配信
- ホワイトペーパーの作成
などがありますが、これまで全く行っていなかったBtoBマーケティング施策を急遽実行することになった方も多いのではないでしょうか?
そして、私もその中の一人であり、2020年から本格的に「BtoBマーケティング」に注力することとなりました。
BtoBマーケティングの情報は質の良いものが多く、実行しきることができれば、しっかりとした成果を上げられます。
しかし、実際にBtoBのマーケティング活動を実施する中では、やってみないとわからないことが数多くあります。中にはそれなりにリソースをかけたものの、特段成果らしい成果が得られなかったものもありました。
そういう失敗をしまったままにしておくのももったいないので、今回はBtoBマーケターの皆様に向けて、私自身の経験から、「BtoBマーケターとして、こういう思考や行動は避けておくべきだった」という反省を紹介させていただきたいと思います。
なお、昨今の世情もあり、内容はBtoBのオンラインマーケティングが中心となっています。あらかじめご了承ください。
やるべきこと・やるべきでないことの取捨選択を慎重にしない
一口にBtoBマーケティングといっても、実行できる施策は数多くあります。
- リスティング広告
- Facebook広告
- オウンドメディア
- SNS運用
- メールマガジン
- ホワイトペーパー
- ウェビナー(Webセミナー)
- Webサイトのコンバージョン改善
- 記事広告
ぱっと思いつくだけでも、これほどの施策が検討に上げられ、あたかもすべてを実施しなければならないような感覚に陥ります。
決してすべてを実施しなくても良いのですが、どれも効果のある施策として成功事例が紹介されることが多いため、「やらないと損をする」ような気分になるのではないかと思います。
「とりあえず全部やってみる」の精神はときにネガティブに働く
BtoBマーケティングに注力し始めた当初、私は「とりあえず全部試してみて、筋が良さそうなものに注力していこう」と考えました。
そしてメールマガジンを始め、ウェビナーを開催し、ホワイトペーパーを作成。オウンドメディアを立上げ、リスティング広告の運用など、一旦できそうなことは全部試してみました。
しかし、今までしっかり施策を行っていなかったこともあり、”目に見える数値の改善”は起こりましたが、それが「確かな成果である」という手触り感はイマイチ感じられず。
ただ、「一旦始めた施策はやり切らなければならない」という考えがあったため、とりあえず何か月かは続けてみましたが、リソースが限られている中で、なかなか綺麗には回りませんでした。
段々施策を回すのではなく、施策に回されているような状態になり、そこに仮説や主体性が失われていったことから、一旦ひととおりの施策をストップすることとしました。
施策は事前の仮説をもとに、効果検証をしながら回すべき
「とりあえずやってみる」で施策を実施して感じたことは、「施策は事前の仮説ありきで回さないと、確かな成果をもたらしてくれない」ということです。
BtoBマーケティングには様々な施策があり、その施策のいずれもが大きな成果をもたらしてくれるような印象がありますが、そんなことはありません。確かな仮説を持ち、その仮説をもとに実施しないことには、「ただ何となく動いているだけ」で終わってしまいます。
もし新しい施策を実施するのであれば、「この施策は本当に今やるべき施策なのか」「他に優先度の高い施策はないのか」とよく検討してから始めることをおすすめしたいです。さもなくば、「忙しい割に言うほど成果が出ない」といった状況に陥ってしまいます。
見込み顧客に十分なフォローをしない
BtoBマーケティングは、セールスと切っても切り離すことができません。
BtoB商材は、一般的に単価が高く導入コストがかかり、十分な情報が提供されていないことから、商材を購入するまでに営業がフォローしなければ購買しにくいという特徴があります。
そのため、仮に広告やオウンドメディア等の情報発信で集客ができたとしても、その中から自発的にお問い合わせやサービスの利用に至る企業の母数は多くありません。
マーケティング活動の成果を伸ばしていくなら、必ずインサイドセールスなどのアプローチを通じて、見込み顧客に十分なフォローを行う必要があります。
言い換えるなら、インサイドセールスや営業フォローを行わずに受注数の増加を期待するのは、マーケティングの過大評価であるということです。
インサイドセールスには優先的に取り組むべき
2020年、私はフロントのセールスやコンサルタントとしての稼働が多かったこともあり、インサイドセールスには取り組めていませんでした。
しかし、インサイドセールスは自社に興味を持ってくれた方をフォローするための強力な手段であり、行わない手はない施策です。
実際、インサイドセールスによってお客様にアプローチしてみると、好意的な反応を示してくださることも多く、ミーティングの機会をいただけることもよくあります。
個人的には、お客様からのお問い合わせを増やすことも重要ですが、こちらからアプローチしてヒアリングの機会をいただくことも同じくらい重要だと考えています。
コンバージョンポイントをライトにしても、フォローしないと何の意味もない
リードを増やすために、お問い合わせからコンバージョンポイントをライトにすることは効果のある施策です。
例えば、資料請求やホワイトペーパー(お役立ち資料)のダウンロード、メールマガジンへの登録をコンバージョンポイントにすると、確かにリードは増えます。
しかし、お問い合わせをした方も、ホワイトペーパーのダウンロードをした方も、同じリードではありますが、そのモチベーションには大きな差があります。
「このホワイトペーパーはわかりやすいな。ちょうど自社でSEOの実施を検討していたし、このまま問い合わせよう」という行動を起こしてくれる方はまずいません。
それなのに、「リードが増えた」と満足してフォローをせずに商談数の増加を期待するのは誤りです。
自分一人で全部の施策を動かそうとする
これが私の一番大きな誤りであったかもしれません。
2020年、私は以下の施策をほぼ一人で動かしていました。
- オウンドメディア
- メールマガジン
- ホワイトペーパー
- ウェビナー(Webセミナー)
- Webサイトのコンバージョン改善
ただ、全部を同時に行うのは意外と時間がかかり、成果を出すために必要なリソースを十分に投下できてはいませんでした。
なんとなく「マーケティング担当だから、自分が手を動かすべきだろう」と考えていたのですが、今思えば、それは傲慢な考え方でした。
リソース配分の最適化がマーケターの仕事である
マーケティング活動はマーケターだけでできるものではなく、社内の協力があって初めて成果に繋がります。
マーケターの仕事は手を動かすことではありません。限られたリソースを有効活用して、十分な成果を創出することです。
株式会社 刀のCEOである森岡 毅さんは、ご自身の著書でこう書かれていました。
とりあえず全部やろうとすることは、無意味に資源を分散させているだけの「戦略なき愚か者」のすることです。そこに戦略がなければ、突出した成果などは望めないのです。
引用:USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門
「自身が忙しくなること」はマーケターとして必ずしも正ではなく、「与えられたリソースを配分して成果を出すこと」こそが正です。
個人的には自分で手を動かすことは好きなので、つい自分でやろうとしてしまうのですが、真に価値を発揮すべきところに注力せねばと日々感じています。
さいごに
まとめると、BtoBマーケターは以下の3つの要素を意識すれば、大きくは外さないのではないかなと思います。
- やらないことを決める。あれもこれも手を出さない
- 自社に興味を持ってくれた方には、適切にフォローする
- 自分一人で完結させない。周りを巻き込んで成果を出す
精神論のようですが、最終的に結果が出るかどうかはどれだけやり切れるか、どれだけ覚悟を持てるかだと思いますので、結局のところはこういう心持ちが大事なのだと感じています。
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