Googleの品質評価基準からSEO施策の優先度を考える

最近更新が止まっている社員ブログに、新しい風を吹かせたく筆をとりました、遠藤(@KouzaburouE)です。

先日おこなったSEO JapanMeetupにて、この社員ブログを楽しみにしてらっしゃる方の声もいただきましたので、久しぶりに更新してみようと思った次第です。

今回は、昨年ぐらいに私が実施したウェビナー「SEOトレンドとプロジェクトへの取り組み方」の内容の一部を抜粋した内容をややブラッシュアップして記事化しました。

セミナータイトル
「SEOトレンドとプロジェクトへの取り組み方」

■対象者
・SEOプロジェクトに携わっている方
・SEOの施策優先度に悩んでいる方

※当記事は「SEO施策の優先度」というトピックの内容のみ抜粋しております。

  • SEOのためにコンテンツをたくさん作成しているが、本当にこれで良いのか?
  • 実際に本格的にSEOに取り組むためにはどのようなタスク優先度で進めればよいのか?

と思う方に届いたら良いなと思います。

目次

Googleの検索品質評価の基準

SEOにおいて重要となる「評価」とは何でしょうか?

これはGoogleの「検索品質評価ガイドライン*」を読み解くことで理解できます。 (*2021年10月19日 更新版)

上記ガイドラインは「Googleがどのようなサイトを評価したいか?」という内容ですので、SEOにおける「評価」を考える上で非常に重要な資料です。

特に意識したい重要な点は2つあります。

①Needs Met(需要との一致)

まずひとつは、Needs Met(需要との一致)です。

これは、情報を求めているユーザーが検索行動をした際に「検索者が求めている情報とマッチしているか?」という観点です。

このNeeds Metは、内容、量、簡便性の3つに分けられます。

  • 内容    ・・・ユーザーが求めている情報を提供し、余分なものを含まない。
  • 量        ・・・需要に応じて、適切な量の情報を返す。
  • 簡便性 ・・・ユーザーが、迅速かつ最低限の手間で目的を達成できる。

②Page Quality(品質の高さ・信頼性)

2つ目は、Page Qualityです。上記のNeeds Metに加え、重要な3つがあります。それが専門性、権威性、信頼性です。

  • 専門性・・・内容に専門的な知識がある
  • 権威性・・・特定分野の権威があること
  • 信頼性・・・コンテンツ制作者やサイトが信頼できる

専門性とは、「1次情報や新しい情報の評価」など、情報の専門性を評価する点。

権威性とは「公的期間などの、より信用があるサイトから脚注等でリンク・サイテーションを得ている」など、権威を示す点。

信頼性とは、ユーザー行動なども含め、信頼性を届けることができているか、という観点です。英語の頭文字をとって「E-A-T」と呼ばれています。

この観点は、YMYLと呼ばれる領域は特に重要です。

YMYLとは

YMYLとは、Your money,Your lifeの略称です。人生に大きく関わるテーマのことを指します。

出展:検索品質評価ガイドライン(アイレップ社訳)

SEOに携わっている方だったら、「もう知ってるよ」という方が多いかと思います。

人生の決断に関わるような情報を提供するサイトは、情報を発信する側にも責任が求められます。Googleとしてもこれらの領域では、信頼性を担保するべく厳しく見ているジャンルです。

Needs MetとPage Qualityに加え、Webサイトの評判なども検索のランキングに影響を与えますが、評判やエンゲージメントはウェブサイトで提供しているコンテンツ・サービスのクオリティによって得られるものと考えると、これまでSEOを全く行っていない方々が特に意識したい点は、上記のNeeds MetとPage Qualityだと考えます。

では、具体的に何をすれば良いのでしょうか?

これは、「Googleがこの専門性と権威性と信頼性をどう評価しているか?」の観点で考えると見えてきます。

実際にGoogleのスポークスマンの発言から推測していくと、「著者や監修者、加えて情報源を明確に示し、Googleへ伝えることが重要」と捉えることができます。

例えば、このような7つの項目の強化が実際の施策の一例です。(もちろん他にもあります)

項目対応事項
著者・監修者情報の掲載ページ毎に監修者を掲載。著者(または監修者)のプロフィールページを作成し、その信頼性を示す。またその構造化マークアップ。
情報源の明示コンテンツ内に出典を明記(発リンク含む。nofollowしない)。医療・健康系の場合、科学的根拠となる論文の脚注など。
サイトの運営元を明記住所や電話番号、会社情報、特商法、プライバシーポリシーを明記
著者・監修者のサイトからの被リンクコンテンツの著者・監修者からの被リンク・言及
業界内で専門性の高い機関/組織からの被リンク政府、学術機関、報道機関などからの被リンク・言及
フォーラム・投稿サイトでの言及を得るフォーラム・投稿サイトにて、サービス・商材・業界に関するトピックの中で競合他社よりも良い、かつ多くの言及を得る
コンテンツの遵法景品表示法・薬事法などの法律に抵触していないとGoogleがわかるコンテンツ作り

上記を中心とした「正しい情報の担保」が、専門性、権威性、信頼性をウェブサイトで表現していくポイントになります。

では、このような「E-A-T」の施策だけ行えば良いのか?というと、そういうわけではありません。ウェブサイトのSEO流入をより強化していくためには、SEO施策の優先度が存在すると考えています。

SEO施策の優先度

SEOでは様々な持論や見解が多くあるため、異論反論はあるかもしれませんが、弊社の基本的な考え方としてSEOの施策は以下の5段階によって分類しています。

これはGoogleが実際に行っている「ウェブサイトを認識し、評価し、検索上のユーザー行動を評価する」といった順番に則した5段階*です。

*こちらは2019年5月にSEO Japanで紹介した、海外のメディア「Search Engine Land」に掲載された記事テクニカルSEOの優先順位。あなたが今取り組むべきは、どの段階か?」が引用元です

検索結果に露出されないサイトに対し、ユーザー行動を評価することはできません。まずは認識してもらい、表示してもらう必要があります。

SEO施策を考える際は「評価され、上位表示され、検索結果からの流入が生まれる必要がありその上で初めてサイト行動の評価軸が生まれる」という考えを持つ必要があります。

Googleのボットは常に回遊し、ウェブサイトの中を見ています。見たページはGoogleのデータベースに登録されていきます。

そういったクローラビリティやインデキシビリティのような土台が崩れていたら、もちろんそのページのコンテンツもリンクも評価されません。

もし仮に、E-A-Tと呼ばれる専門性や権威性、信頼性をコンテンツとして担保してたとしても、このインデクサビリティやクローラビリティに課題があった場合は、その評価は100%にはなりません。

次にアクセシビリティー。つまりアクセスのしやすさは、コーディングが崩れている、フォントが小さい、などのユーザーフレンドリーではない点を指します。

そして順位付けのランカビリティと、クリック状況を最適化していくクリッカビリティです。

SEOに特化したライティング技術は、Webライティングの必須スキルとなるまで浸透しましたが、そういったライティング技術は重要ではある一方、それ以前にGoogleが評価をするための「土台の施策」をおざなりにしているケースをよく観測します。その場合、コンテンツの評価をきちんと引き出すことができておらず、非常にもったいない状態です。

土台をしっかり整えた上で、コンテンツの充実に取り込んでいただくと、コンテンツ自体の潜在力がしっかり評価されるため、成果につながりやすいサイトとなります。

そのため、サイト改善を行う際の順序としては、下から順番に行います。まず土台を整え、サイトの使いにくさを改善し、コンテンツの部分を強化する、といった手順です。

この5段階をさらにざっくり分けると、3つのステップに捉えることができます。

STEP1.サイト全体の潜在力を引き出す。

STEP2.使いにくい要素を見極めて強化する。

STEP3.Googleを介して検索ユーザーがどういった情報を求めているのか?を調べて情報提供する。

ここからは各ステップについて解説します。

STEP.1 サイト全体の潜在力を引き出す

まず重要なのはクローラビリティです。

クローラビリティがあり、ページを正しく認識させるためには、大規模なサイトほど非常に難しくなります。ページが増えれば増えるほど、そのページの優先度づけが難しくなります。クローラーを制御するロボットテキストや、コンテンツの精査などが実際の実施事項です。

次にインデキシビリティですが、基本的な考え方として「1URLに1コンテンツ」となります。

「少しURLが違うけど同じコンテンツ」といった場合は、重複コンテンツの可能性もあります。その場合、インデックスのタイミングで「じゃあこのページは要らないよね」と、Googleが勝手に判断する課題も起きます。

重複コンテンツは、一般的にURLの吐き出し方に課題があるケースですので、URLの正規化が重要です。

そのような点を含めて考えていくと、「コンテンツの精査」「Javascriptのレンダリングの改善」、また「自然検索結果に出す必要がないページは、noindexを入れて処理する」などの正しい処理を行うことで、Googleにサイト全体が正しく認識されます。

SEOにおいて怖いケースは「土台となる施策で処理を間違えてしまい、全くの逆効果(検索結果に出なくなる等)となってしまった」といった事態です。

以前、当ブログでも谷藤が書いた「SEOコンサルタントが必死で止める、間違ったSEO施策」という記事で触れています。

そのため、これらの施策は慎重に、かつ確実に行いたい領域です。ぜひ取り組んでいただきたい施策ですが、正しい情報にしたがって実施するよう、気をつける必要があります。

STEP.2 使いにくい要素を見極めて強化する

「使いにくい要素」は、サーチコンソールを見て改善点を発掘します。

なぜかというと、最初から「使いにくい」を主観的に判断するとPDCAが回しにくいためです。

例えば、ご自身の持っているiPhoneで使いにくいと感じることもあると思います。最初の課題抽出という点では非常に良いです。

では、実際にGoogleがそのように認識してるか?を検証する作業がSEOでは重要です。「そういった点を正確に把握していくためには、まずサーチコンソールを使って確認してみる」と意識してみてください。

まず「ページエクスペリエンス」「WEBに関する主な指標」「モバイルユーザビリティー」にて、エラーが出ていないかを確認してみてください。

データをたどっていくと、コーディングが崩れを検知したページや、表示の遅いページがわかります。

このデータを確認することで「SSL化が問題なく実装されてるか?」や「Googleが問題なくページをレンダリングできているか?」など仮説を抽出することも可能です。

上記の試行錯誤の結果、エラーが出ない状態になれば、STEP2は終了です。

それ以上の体験を提供していくためには、サーチコンソールでは検出されない「ユーザーの体験」が重要となりますので、ユーザー調査などを行い、コンテンツ(≒情報設計)とともに課題を抽出してい必要があります。

STEP.3 コンテンツに関して充実させていく

ステップ2までを実施することで、サイトの土台が整い、Googleがちゃんと中をクローリングし、ページを認識し、問題なくアクセスできる、情報を閲覧でき、各ページで使いやすい状態になりました。

次は、コンテンツをより充実させていき、サイトの中の情報を充実させていく段階です。

この段階におけるコンテンツの充実などのSEOのナレッジは、一般化してきていると考えています。

例えば、「検索意図に沿ったコンテンツを作りましょう」や「独自のオリジナルのコンテンツを作りましょう」は、どこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。

検索意図に沿うことはもちろんですが、ここで先程あげたNeeds Metと呼ばれる観点を意識していただきたいです。

これは検索者が求める情報と合致した、情報の形式・量・内容を満たしたコンテンツとなっているか?という観点です。

加えて、オリジナルのわかりやすい図を用いたり、著名な方の見解、専門的な分析、調査に基づいたデータなどをもとにしたコンテンツを作成出来ると、独自のコンテンツとしてユーザーの評価を得ることになります。その際には、ぜひ引用や脚注などで発リンクを設置してください。

それは、E-A-Tの観点でも重要な

  • 1次情報や独自の分析、科学的根拠が盛りこまれているか
  • 新規性が高い情報(ニュース等)はあるか
  • 信頼のおける方が発信している情報か

などの補填にもなります。

ぜひ貴社ならではの分析や、社内有識者の見解、わかりやすく伝える技術や、投資した技術・会社の仕組みなど「コアバリュー」のエッセンスを加えてみてください。

そして、監修者や著者のリンク、プロフィール掲載したり、構造化マークアップなど、「この情報は信頼できますよ」とGoogleへわかりやすく伝える工夫も忘れずに行いましょう。

詳細は以前、私の記事でも紹介した内容にありますので、ぜひ参考にしてください。

コンテンツSEOで効果/成果が出ないのはなぜ?その理由と「Web集客につながるコンテンツづくり」を解説

とはいえ、ECサイトなどを運営してらっしゃる方は「記事のようなコンテンツじゃコンバージョンしないし、E-A-Tと言われてもSEOでやること無いよな…」と思うかもしれません。そのような場合は、 Googleの品質評価ガイドラインに沿ったユーザー調査を行ってみるのも一つの手です。

実際の体験上で何の情報を信頼し、何を怪しく思い、何に魅力を感じるか?が明確になっていくと思いますので、思わぬ課題の発見につながります。

しかし、事業によって検索流入の重要性は変わります。SEOはあくまで手段ですので、その手段が自社事業とあったものか?は見極めて取り組むべきと考えてます。取り組む際には「自社事業のターゲットがどこで何をして、いつどのように過ごしているから、検索のチャネルの重要度はこれぐらい」まで言えると良いですね。

まとめ

SNSの台頭や、MAによって全体最適化が進んでいるWebマーケティング業界ですが、変わらず検索エンジンはWeb上における大きな接点です。その魅力は量ではなく、「自身の課題を解決しようと行動している、課題が顕在化した能動的なユーザーである」といった質ではないでしょうか。

Googleを介して能動的なターゲットユーザーに有益なコンテンツを伝えるためには、「Googleへコンテンツの良さを最大限伝える技術」として、SEOは重要な役割を担っています。

「ユーザーのための有益なコンテンツさえ作っていれば良い」といった世界は少しずつ近づいてはいますが、コンテンツが増えれば増えるほど、それを露出させる技術の重要性が増してきているとも感じます。

もし、「本格的にSEOに取り組みたいけど…」と二の足を踏むご事情や、「SEOに取り組んでいるけどイマイチ成果がでない」などの不安な点がありましたら、ぜひアイオイクスにお声がけください。貴社の環境やご担当者のお悩みに沿ったご支援の案を、丁寧に、一緒に考えさせていただきます。

今後もより有益なコンテンツ発信をしていきますので、Twitterもフォローいただけますと幸いです。

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この記事を書いた人

美術大学卒業後、アイオイクス株式会社にWEBデザイナーとして入社。10年以上にわたり、数え切れない数のSEOプロジェクトに携わる。コンサルタントとして「事業理解に基づくWEBマーケティング」をモットーに、事業課題をWEBマーケティングの力で解決する支援を実施。

SEOだけでなく、戦略立案・CV改善・Youtube活用・ソーシャルツール活用など支援のカバー範囲は多岐にわたる。趣味は料理、絵を描くこと、サウナ。

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